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ユーコーコミュニティー社長・阿部真紀氏は「女性が働きやすい職場づくり」の失敗からどう挽回したのか【前編】

ユーコーコミュニティー社長・阿部真紀氏は「女性が働きやすい職場づくり」の失敗からどう挽回したのか【前編】

在宅ワークでインスタを

ここまで女性職人が集まるようになり、メディアの取材が殺到しているのは、ユーコーコミュニティーのWebマーケティング力の高さも関係している。

なにしろ社長ブログは毎日更新しているし、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSから、自社メディアの運用まで情報を発信するツールを使い倒している。Webサイトを見れば、美大生のスキルを活かした実体験記「美大就職リアル体験記」という漫画まで掲載している。

IT系企業から広告代理店を経て、ユーコーコミュニティー創業に加わった阿部氏にとって、マーケティングを担うことはひとつの重大なミッションだったが、これもまた、ここまで来るのはかなりの苦労があったそう。

塗装業の世界は一軒ずつ訪問して見積もりを取っていく営業スタイルが主流なので、業界を改革し、かつ会社を大きくするためにマーケティングは不可欠でした。ただ、立ち上げた時は会社も小さく、マーケティングの『マ』をする以前の問題が山積みでそれどころじゃなかったというのが……(笑)。私も現場に行ってローラーを持って作業したこともありますし、事務作業から塗料の管理、業者との交渉までいろいろなことをやらざるを得なかった。そんな環境に身を置けたので、いまではむしろ良かったかなと思いますけれどね。それからちょっとずつ、広告を出してみたりして……」

そんな彼女が展開するWebマーケティング施策の中で象徴的なのが、インスタグラム(以下インスタ)である。

ユーコーコミュニティー公式アカウントは、2万人を超えるフォロワーを持つ。面接時に「インスタ見てます」という学生もよくいるらしい。

内容は「オンライン美術館」がテーマで、アート作品の制作過程を収めたタイムラプス動画や、実際にユーザーの住宅に描かれたイラストなどカラフルな作品がアップされている。フォロワーは若年層から主婦まで、多様な女性層なんだとか(意外にも40代が一番多いらしい)

「美しくてキラキラしたアカウント」に好感を持ってフォローするようになり、日々、潜在的に良いイメージが積み重なっていく。そしてある時、住まいの塗装が必要になった際、いつも眺めているアカウントをよくよく見たら運営者は塗装会社。自然と「じゃあ、ここに発注してみようか」……となる流れだ。

そんなインスタや自社メディアの投稿者の働き方を聞いて驚いた。なんと投稿する社員は完全在宅ワーカーなのだという。

例を挙げると、インスタへ作品を投稿する女性社員は結婚を機に地方へ引っ越しして、そこで作品を制作してアップしている。ちなみにその地方にユーコーコミュニティーの拠点はない。インスタを介した完全なるリモートワークである。

「会社が小さい頃は『辞められるぐらいなら、お子さん連れてきてもいいよ』という感じで、子連れ出勤も昔からやっていました。最初はどちらかというと消極的な理由ではあったんですけれど、最近は彼女たちが夫の転勤や出産などでライフステージの転換期にぶつかったとしても、働ける環境や仕事をつくる必要があると考えるようになりました。

もちろん一人ひとりの能力が違いますから、営業にいた社員であれば塗装の知識を生かしてメディアの記事が書けるし、美大で絵を描いていた社員であれば、インスタを介して好きなことをしながら家で仕事ができる。いかに仕事を生み出してあげるかは私たちの課題であり、使命だと思っています」

育休や子連れ出勤、在宅ワークの制度をうわべだけ採り入れるのではなく、実態に伴った形で柔軟に運用する。たしかに女性社員が多い分、さまざまな要因で訪れる転機のたびに彼女たちの培った能力がリセットされてしまうのは、社員にとっても会社にとっても、とてももったいないことだ。阿部氏は「なにが社員のためになるのか」を深く問い続け、試行錯誤を繰り返し続けている。

 

 
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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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