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ユーコーコミュニティー社長・阿部真紀氏は「女性が働きやすい職場づくり」の失敗からどう挽回したのか 【後編】

ユーコーコミュニティー社長・阿部真紀氏は「女性が働きやすい職場づくり」の失敗からどう挽回したのか 【後編】

多くの女性職人を擁し、塗装業界にイノベーションを起こそうとしているユーコーコミュニティー。社長の阿部真紀氏は、この仕組みをどのようにして持続可能なものにしていこうとしているのか。そして現状の課題と、今後の展開は?

写真/奥村純一

 

「匠の技」伝承用動画のヒミツ

いかに絵を描く才能を持つ美大卒人材がたくさん入ってきたとしても、塗装業の仕事がすぐにできるわけではない。当然、塗装職人ならでは技の習得が必要だ。ユーコーコミュニティーもまさか、職人の世界によくある「俺の背中を見て学べ、技を盗め」方式を行っているのだろうか。いや阿部氏のことだから、そんなはずはあるまい。

「当社には塗装職人経験45年以上のベテラン男性職人が在籍しています。彼らの技術を男女問わず若い人に伝えていくために、動画を活用しているんです」

動画、というと……?

「当社の研修トレーニングセンターで、ベテランの職人がどんな方法で、どんな姿勢で、どのような視点で作業をしているのか、その様子を撮影します。同じ角度で若い子たちの様子を数十人分を撮って、動画を見比べます。そうすれば姿勢や動作の違いもよく分かる。塗装の各工程ごとに撮って、見て、また作業して……を繰り返す。このようにして60代のベテランの中だけにある技術をしっかりと若い社員たちに残していくのです。動画というデータで見える化すれば、感覚的な自分流の技術にならず、しっかりとモデルの模倣からはじめられる。私たちはそれを『守破離の“守”』と呼んでいます」

心理学的に言うと「モデリング」である。たしかに、現場に入るのはだいたい2人1組なので、「あなたは屋根をやってね、私は壁をやるから」と分業形式になることが多く、長く働いていても、師匠がどんな方法でやっているのかを案外知らなかったりする。

自分が師匠と比べてなにが違うのか、これまで分からなかったことを可視化することで、一定のスキルを持つ職人になるのに数年かかったものが、場合によっては数か月で達する。一気に複数名の技術レベルの均質化もできる。

「ベテランの彼は当社に来て10年近くになりますが、教える側としてもものすごくやる気になっていて、『自分がモデルとなって、若い子たちにそうやって技術が継承されていくというのが、いまの自分のやりがいになっている』と言っています。それに『こんな女性が多い会社になるなんて、夢にも思わなかった。まるで自分の娘、いやもう孫みたいなものでかわいい』って」と話す阿部氏は、自分のことのように嬉しそうだった。

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「建設の匠」編集部
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