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「みんなが建設パーソンになる社会へ」ゼムケンサービス代表・籠田淳子氏が夢見る女性活躍の“先”の景色【前編】

「みんなが建設パーソンになる社会へ」ゼムケンサービス代表・籠田淳子氏が夢見る女性活躍の“先”の景色【前編】

最新の「ジェンダー・ギャップ指数」(WEF発表、2018年度版)によれば、日本の男女平等の度合いはG7中最下位の110位だった。また建設業における女性と男性の賃金格差は、他業界に比べても大きいのだとか。人口減少時代にもかかわらず、人口の約半分を占める女性は、日本の建設業において明らかに軽んじられている。

女性は、本当に建設業に不向きなのだろうか。北九州で工務店を営みながら、女性活躍推進に向けて精力的に活動する女性社長に疑問をぶつけてみたら、話は“女性活躍”にとどまらなくなり――。

写真/編集部、有限会社ゼムケンサービス

建設業を志したあの頃から変わったのは?

「男は度胸、女は愛嬌」ということわざがある。いつからそんな分担が決まったのだろう。

籠田淳子(こもりた・じゅんこ)氏は、度胸も愛嬌もあわせ持つステキな女性だ。堂々とした口調の一方で、コロコロとよく笑う。彼女は、福岡県・北九州市にある工務店、有限会社ゼムケンサービスの代表である。

「男の人が『かっこいい』と思うことは、女の人だって『かっこいい』と思うんですよ」

そう話す籠田氏は工務店経営者の娘として生まれ育ち、やがてごく自然に、建設業で働くことを志した。

「父は『女が建築に行って、なんになるんか。業界を見渡しても、女は誰もおらん。電話番かお茶くみしかできんやないか』と反対していました。父はいち大工から工務店を立ち上げた人なので、現場をよく分かっている。でも、母が『淳子ちゃん、これからは女も手に職の時代よ』と応援してくれたので、わたしはそんな父の反対を押し切って、建設業に身を投じました」

そんな時代から考えれば、ずいぶん時代は変わった。籠田氏はしみじみ語る。

「わたしが一級建築士に合格した時は、合格者のうち女性はわずか5%でした。それがいまは23%。約4倍に増えています。建設・建築系に進む女子学生の比率も、わたしが大学生の頃はすごく珍しくて、『変わり者やな』という感じでした。これもいまや平均35%。非常に偏差値の高い大学ほど女子学生が増えているぐらい、これから女性が建設業界に入ろうとする雰囲気はものすごく変わってきている。建築士や施工管理技士、技術士や技能士の資格も取っている女性たちが、男性以上に頑張ろうと思っていますね」

しかし医学系大学の入試で女性に対して不当な得点調整があったように、差別はいまだ根強く存在している。筆者がかつて関わっていた某試験においても、「普通に試験の得点だけで判断すれば、定員はほぼ女性で埋まってしまう」という声をよく聞いた。これは、図らずも女性の能力の高さを実証していた。

仮に試験に合格したり、資格を取得したりしても、女性がその組織に長く勤められないという問題がある。それは組織上、あるいは大多数を占める男性のマインドが原因だ。女性は出産や育児などを転機に、早く辞める(あるいは休む)と見なされがちだったし、「子供がいると時間を合わせるのが難しい」とも思われている。せっかく女性を採用したのに「男性上司が女性部下の育て方を分からない」という話も聞こえてくる。

さて、数ある業種の中でも建設業界は、「けんせつ小町」「土木女子」という名称がわざわざつくられなければいけないぐらい、女性の活躍が遅れている世界だ。籠田氏はそれをどう揺さぶろうとしているのだろう?

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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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