ヒューマンタッチ総研独自分析月次レポート(2018年12月26日 公開) 建設業界人材動向レポート(平成30年12月) 建設業では定年を65歳以上としている企業の割合が製造業よりも高い

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▼ 建設業界のトピックス

 政府は、11月に発表された未来投資会議の中間報告の中で、現行は65歳までとなっている企業の継続雇用年齢に関し「70歳までの就業機会の確保を円滑に進める」とし、企業や個人の自由度を認めつつ段階的に法制度を整備すると明記しました。今回は、このような定年延長の流れを踏まえて、高齢化が深刻な問題となっている建設技術者における定年年齢、再雇用の現状についてまとめました。

建設業では定年を65歳以上としている企業の割合が製造業よりも高い

 厚生労働省の「就労条件総合調査」から業界別の定年年齢を見ると、建設業では65歳以上に定年年齢が設定されている企業が22.2%で、製造業の10.0%を大きく上回っています(=図表①)。また、定年後の勤務延長もしくは再雇用制度がある企業での最高雇用年齢の割合を見ると、定年後に66歳以降まで働ける企業は建設業が31.7%で、製造業の23.8%を上回っています(=図表②)。一方で、建設業においても定年年齢を60歳に設定している企業が74.4%、最高雇用年齢の割合を65歳としている企業が68.3%に上り、依然として多数を占めています。

【図表① 定年年齢階級別企業割合/図表② 最高雇用年齢階級別企業割合】図表① 定年年齢階級別企業割合/図表② 最高雇用年齢階級別企業割合出典:図表①②ともに厚生労働省「就労条件総合調査」より作成

建設技術者の高齢化は急速に進み、2015年には35.2%が55歳以上となる

 国勢調査の結果から、建設技術者の年齢構成を見ると、55歳以上の割合は2000年の15.1%から2015年には35.2%に上昇しています(=図表③)。企業の継続雇用年齢を65歳と仮定すると、2015年における55歳以上の建設技術者(167,160人)は、今後10年間で順次、定年などで退職していくため、これが建設技術者不足の大きな要因であると考えられます。

 そこで今後は、各企業が、定年年齢の引き上げや、政府方針に基づく最高雇用年齢の70歳までの引き上げといった施策を取り、シニア層の建設技術者らを最大限に活用することが、建設技術者不足解消の一助になるものと考えられます。

【図表③ 建設技術者の年齢階級別構成比の推移】図表③ 建設技術者の年齢階級別構成比の推移


▼ 2018年10月の建設業界の雇用関連データ(2018年11月30日公表)

(1)建設業の就業者数・雇用者数・新規求人数

◆就業者数は497万人(前年同月比 98.4%)となり、10カ月ぶりに減少に転じる

《建設業の就業者数と雇用者数の推移》建設業の就業者数と雇用者数の推移 出典:総務省「労働力調査」より作成

◆公共職業安定所(ハローワーク)における新規求人数は74,934 人(前年同月比 105.2%)と増加に転じた

《建設業の新規求人数の推移(新規学卒者とパートを除く)》図表:建設業の新規求人数の推移(新規学卒者とパートを除く) 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成


(2)建設技術職の雇用動向

◆公共職業安定所(ハローワーク)における建築・土木・測量技術者(常用・除くパート)の有効求人倍率は前年同月比0.47ポイント上昇して6.50倍となり、専門的・技術的職業の中で最も高い倍率となっている。
◆有効求人倍率は41カ月連続で前年同月を上回っており、厳しい人手不足の状況は長期化している。
◆有効求人倍率の先行指標となる新規求人倍率を見ると、前年同月比0.48ポイント上昇して9.09倍となっており、東京オリンピック・パラリンピック関連の工事に加えて、道路や橋梁等の改修工事等も年度末に向けて増加すると考えられることから、今後も厳しい人手不足の状況が続く可能性が高い。
◆有効求人数は前年同月比102.3%と33カ月連続で前年同月を上回り、建設技術者への人材需要は高水準が続いている。
◆新規求人数は前年同月比108.2%と3カ月ぶりに上昇に転じており、年末に向けて再び建設技術者への求人は増加しそうである。
◆充足率は前年同月比で0.7ポイント低下して4.3%となり、ハローワークで建設技術者を採用することは困難な状況が続いている。

*充足率=(就職件数/新規求人数)×100 (%)

《公共職業安定所(ハローワーク)における建築・土木・測量技術者の雇用関連指標の推移(常用・除くパート)》図表:公共職業安定所(ハローワーク)における建築・土木・測量技術者の雇用関連指標の推移(常用・除くパート)

《公共職業安定所(ハローワーク)における建築・土木・測量技術者の雇用関連指標の前年同月比(常用・除くパート)》 図表:公共職業安定所(ハローワーク)における建築・土木・測量技術者の雇用関連指標の前年同月比(常用・除くパート) 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成


(3)建設技能工の雇用動向

◆公共職業安定所(ハローワーク)における建設・採掘の職業(常用・除くパート)の有効求人倍率は、前年同月比0.78ポイント上昇の5.37倍となった。42カ月連続で前年同月を上回っており、建設技能工についても厳しい人手不足の状況が長期化している。
◆有効求人倍率の先行指標となる新規求人倍率は前年同月比0.90ポイント上昇して7.25倍となり、東京オリンピック・パラリンピック関連の工事に加えて、道路や橋梁等の改修工事等も年度末に向けて増加すると考えられることから、今後も厳しい人手不足の状況が続く可能性が高い。
◆有効求人数は前年同月比104.6%と34カ月連続で前年同月を上回り、建設技能工への需要は高水準が続いている。一方、有効求職者数は前年同月比89.3%となり、長期的に減少傾向が続いている。
◆充足率は7.6%で前年同月より1.3ポイント低下しており、公共職業安定所(ハローワーク)で建設技能工を採用するのは非常に困難な状況が続いている。

*充足率=(就職件数/新規求人数)×100 (%)

《公共職業安定所(ハローワーク)における建設・採掘の職業の雇用関連指標の推移(常用・除くパート)》図表:公共職業安定所(ハローワーク)における建設・採掘の職業の雇用関連指標の推移(常用・除くパート)

《公共職業安定所(ハローワーク)における建設・採掘の職業の雇用関連指標の前年同月比(常用・除くパート)》 図表:公共職業安定所(ハローワーク)における建設・採掘の職業の雇用関連指標の前年同月比(常用・除くパート) 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成


▼ 2018年10月の雇用関連データのまとめ(2018年11月30日公表)

(1)主要な雇用環境指標の推移

◆就業者数、雇用者数ともに大幅増で、ともに70カ月連続で前年同月を上回る
就業者数は6,725万人(前年同月比144万人増)、雇用者数は5,996万人(同119万人増)となり、ともに大幅増となった。
どちらも70カ月連続で前年同月を上回り、雇用環境は改善傾向が続いている。
◆完全失業率は前月より0.1ポイント上昇して2.4%
完全失業者数は163万人(前年同月比18万人減少)で、101カ月連続で前年同月を下回った。完全失業率(季節調整値)は前月より0.1ポイント上昇して2.4%となった。

《主要雇用環境指標の推移》図表:主要雇用環境指標の推移 出典:総務省統計局 労働力調査より作成

《参考:主要雇用環境指標の年平均値の推移》図表:参考/主要雇用環境指標の年平均値の推移 出典:総務省統計局 労働力調査より作成

◆就業者数が最も増加したのは前月に引き続き「宿泊業・飲食サービス業」
就業者数が最も増加したのは前月に引き続き「宿泊業・飲食サービス業」であり、前年同月比42万人の増加となった。次いで「学術研究/専門・技術サービス業」が同16万人の増加となった。

《主要産業別の就業者数・雇用者数》図表:主要産業別の就業者数・雇用者数 出典:総務省統計局 労働力調査より作成

◆正規社員数は47カ月連続で前年同月を上回り、増加傾向が続く
正規の職員・従業員数は3,522万人(前年同月比37万人増)であり、47カ月連続で前年同月を上回り、増加傾向が続いている。非正規の職員・従業員数は2,156万人(同115万人増)と前月に引き続いて100万人超えの大幅な増加となり、非正規社員の比率は38.0%で前年同月より1.1ポイント上昇した。

《雇用形態別雇用者数の推移》図表:雇用形態別雇用者数の推移 出典:総務省統計局 労働力調査より作成

◆女性の完全失業者数は「55歳~64歳」を除くすべての年齢階級で前年同月に比べて減少
完全失業者数を男女別・年齢層別に見ると、女性は「55歳~64歳」を除くすべての年齢階級で前年同月に比べて減少、男性は「15歳~24歳」「35歳から44歳」「55歳~64歳」の年齢階級で前年同月に比べて減少した。
完全失業率(季節調整値)は、女性が対前年同月比0.1ポイントの低下、男性が同0.3ポイントの上昇となった。

《年齢階級別・男女別完全失業者数・完全失業率》図表:年齢階級別・男女別完全失業者数・完全失業率 出典:総務省統計局 労働力調査より作成

◆「勤め先や事業の都合による離職」が大幅に減少
完全失業者を求職理由別に見ると、「勤め先や事業の都合による離職」が前年同月比13万人減の大幅な減少となり、69カ月連続で前年同月を下回った。また、自発的な離職(自己都合)は71万人で同6万人の減少となった。

《求職理由別完全失業者数の推移》図表:求職理由別完全失業者数の推移 出典:総務省統計局 労働力調査より作成


(2)有効求人倍率・新規求人倍率・正社員求人倍率の推移

◆有効求人倍率は前月より0.02ポイント低下して1.62倍
公共職業安定所(ハローワーク)における有効求人倍率(季節調整値)は、1974年1月以来の高水準となった前月より0.02ポイント低下して1.62倍となった。
正社員の有効求人倍率は過去最高となった前月よりも0.01ポイント低下して、1.13倍となった。

《有効求人倍率(パートタイムを含む/季節調整値)の推移》図表:有効求人倍率(パートタイムを含む/季節調整値)の推移 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成


(3)職業別有効求人倍率の推移

◆公共職業安定所(ハローワーク)における専門的・技術的職業の有効求人倍率は前年同月比0.11ポイント上昇して2.29倍となり、専門職・技術職の人材不足の状況が続いている。
◆最も有効求人倍率が上昇したのは「建設・採掘の職業」であり、前年同月比で0.78ポイント上昇して5.37倍となり、次いで、「建築・土木・測量技術者」が前年同月比で0.47ポイント上昇して6.50倍となった。

《職業別有効求人倍率(除パート)の推移》図表:職業別有効求人倍率(除パート)の推移 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成

《職業別有効求人倍率(除パート)の前年同月比》図表:職業別有効求人倍率(除パート)の前年同月比 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成

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