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  • 特集・i-Con2021(14)/官民双方でインフラDXが加速

    【革新的な技術とサービスを開発】

     

     官民を挙げて、インフラ分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みが加速している。国土交通省は「インフラ分野のDX推進本部」を2020年7月に設置し、社会資本整備と公共サービスの変革、生産性向上、非接触・リモート型への転換などを図り、官民双方の働き方改革を推進する方針を打ち出した。こうした施策を実現するため、3次元モデルやデジタルデータを活用した、さまざまな革新的技術の開発が進められている。インフラ分野のDX推進本部の取り組みやi-Constructionを支える技術を紹介する。

     

    4544インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進

     

    【国民、建設業界、行政に貢献する取り組み】

     

     国土交通省は、技監を本部長とする「インフラ分野のDX推進本部」を中心に、「行動」「知識・経験」「モノ」の3つのDXを柱にした、第5世代移動通信システム(5G)やAI(人工知能)、クラウドなどのデジタル技術とデータを活用した取り組みを部局横断的に進めている。20年度末に国交省全体のDX施策を取りまとめる方針だ。

     

    ■文化・風土を変える観点から3つのDX

     

     昨年7月19日に開いたDX推進本部の初会合で山田邦博技監は、「社会資本や公共サービス、業務、国交省、国交省所管分野の文化・風土を変えるという観点で取り組んでほしい」と呼び掛けた。

     

     「行動のDX」は、発注者がどこにいても現場を確認できるような施策を展開する。クラウドサーバーを通して、受注者がウェアラブルカメラで撮影した映像を、発注者が事務所からリアルタイムで確認するなど、遠隔の現場臨場を推進し、対面主義にとらわれない建設現場の新たな働き方を実現する。

     

     「知識・経験のDX」は、AIを活用し、誰でもすぐに建設現場で活躍できる環境づくりを進める。施工の段取りやインフラ点検で熟練の技術者が培ったノウハウをAI学習用の教師データとして整備し、民間に提供してAIの開発を促す。AIを搭載した建設機械の自動施工技術やAIがインフラの変状を自動検出して点検者の判断を支援する技術などの社会実装を目指す。

     

     「モノのDX」は、BIM/CIM推進を柱とする。複数の図面から推察していた内部構造や組み立て形状が一目で分かるほか、数量や工事費の自動算出が可能になる。国交省は、 小規模を除くすべての公共工事で、23年度までにBIM/CIMを原則適用する目標を掲げている。

     

    ■多様な働き方など推進環境を整備 

     

     DXを推進することで、建設業界の安全で快適な労働環境を実現し、国交省も在宅勤務など多様な働き方を可能にすることが目標となる。3次元データによって公共事業の理解度を深めやすくなるなど、国民にとっても有益な取り組みになることが期待される。

     

     DXを推進する環境整備としては、3次元データを大規模なストレージに一元的に集約し、受注者もBIM/CIMモデルの作成で利用できる3DXデータセンターと遠隔操作や無人施工などの実験フィールドを国土技術政策総合研究所に設置する。

     

     BIM/CIMを活用できる職員を育てるため、全国共通の研修を実施するととともに、関東、中部、近畿、九州の4地方整備局に人材育成センターを設ける。

     

    ■今後、取り組むべき代表的17施策を策定

     

     10月19日に開いた「インフラ分野のDX推進本部」の第2回会合では、インフラ分野のDXとして取り組むべき代表的な17施策の概要をまとめた。無人化・自律施工や監督検査の省人化・非接触化などを進める。

     

     国民、建設業界、職員に貢献するDXを進め、▽行政手続きの迅速化や暮らしのサービス向上▽危険・苦渋作業からの解放による安全で快適な労働環境▽インフラのデジタル化による検査や点検、管理の高度化▽在宅勤務や遠隔による災害支援など新たな働き方--の4つの施策の実現を目指す。

     

     主な施策をみると、産学官共同の実験フィールドで、VRによる建設機械の遠隔操作、シミュレーターを活用した建設機械の自律運転、AI搭載型建設機械による自動施工などの研究開発を進める。

     

    ■業務の効率化とリモート化を推進

     

     点検にAIを活用し、画像から変状を自動的に検出して、人間による点検結果の判断を支援する。モーションセンサーによって職人の熟練技能を可視化し、効率的に人材を育成する手法も構築する方針だ。

     

     画像解析や3次元測量などを活用して出来形管理を効率化するとともに、港湾分野でドローンや水中音響測探機による3次元測量を実施して監督・検査をリモート化する。

     

     代表的な17施策は次のとおり。

     

     ▽特殊車両通行手続きなどの迅速化▽港湾関連データ連携基盤の構築▽ITやセンシング技術などを活用したホーム転落防止技術の活用促進▽ETCによるタッチレス決済の普及▽無人化・自律施工による安全性・生産性の向上▽パワーアシストスーツなどによる苦渋作業減少▽AIなどによる点検員の判断支援▽監視カメラ画像を用いた交通障害自動検知。

     

     ▽人材育成へのモーションセンサーなどの活用▽衛星を活用した被災状況把握▽監督検査の無人化・非接触化▽点検の効率化▽日々の管理の効率化▽3D都市モデルの構築による社会課題解決策の具体化▽データ活用の基盤整備▽3次元データなどを保管・活用する環境整備▽インフラ・建築物の3次元データ化。

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    掲載日: 2021年1月29日 | presented by 建設通信新聞

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