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  • 全建ブロック会議総括=上=

    【当初予算減少に危機感/役割を未来につなぐ/安定的・持続的な事業量確保を/地域ごとの中期的見通し公表を要望】

     

     全国建設業協会(近藤晴貞会長)と国土交通省などとの2018年度地域懇談会・ブロック会議が10月31日の中国地区で全日程を終えた。全建は、「経営の安定化」と「働き方改革・生産性向上」を地域懇談会のテーマに設定し、安定的・持続的な事業量確保や国土強靱化を図るための当初予算の増額確保などを要望。各地区では頻発化する自然災害や、働き方改革に対応しながら“使命”を果たし続けるために不可欠な予算の増額要望が相次ぎ、健全な経営基盤のベースとなる当初予算に対しては減少を懸念する声も上がった。 =関連2面

     

     10月3日の関東甲信越地方ブロック会議で、関東甲信越地方建設業協会長会の小俣務会長は、「仕事量の確保は依然としてわれわれが存続していく上での最大の課題になっている。経営が厳しい中、働き方改革を進めるための環境はまだまだ整っていないというのが共通認識だ」と地域建設業が置かれた状況を切実に訴えた。

     

     近藤会長は、「地域建設産業が働き方改革に向けたさまざまな施策を推進するために、必要不可欠なものが、健全で安定した経営基盤の確保だ」と強調し、安定的、持続的で切れ目のない事業量の確保と、地域ごとの中期的な見通しの公表を要望した。

     

     政府全体の当初予算のうち、公共事業関係費は6年連続で増加。下げ止まっているものの増加率はわずかにとどまり、ここ5年は約6兆円規模で推移している。各地区では、下期の事業量が減少する「秋枯れ」対策としての補正予算の早期執行や当初予算の増額確保を求める声が多く出された。

     

     10月29日に開かれた東北建設業協会ブロック会議で、東北建設業協会連合会の千葉嘉春会長は、東北地方整備局の当初直轄事業費が東日本大震災以降「激減している」と指摘し、復興・創生期間後の事業量に危機感をあらわにした。

     

     東北地方整備局の当初直轄事業費は、01-09年度まで3300-3900億円台で推移していたが、震災後の12年度以降は、3年連続2000億円台となり、18年度は1800億円台にまで落ち込んでいる。復興庁直轄や補正予算はあるものの、経営の安定化を支えるベースとなる当初予算の減少に対して千葉会長は「このままでは、地域建設業が倒産に追い込まれる」と強い懸念を示し、震災前の水準確保を訴えた。

     

     各地区では、経営戦略の構築に不可欠な、具体的な投資規模を明示した社会本整備の中長期ビジョンを求める声も多く上がった。建設業協会東海4県ブロック会議では、建協側が、少なくとも今後10年の地域の事業状況が見通せる中長期的ビジョンの策定を要望し、「中長期計画などを基に戦略を構築し、健全で安定した経営の下で初めて災害応急対応や担い手の確保につながる」と強調した。

     

     政府が検討を進めている、国土強靱化緊急対策の3年間での集中的な実施に対しては、具体的な投資額の明示に期待を寄せる地域建設業も多い。厳しい経営環境下で先行きが見えず、必要な人員や資機材の確保に慎重にならざるを得ない地域建設業にとって、投資額の明示は、受注戦略の立案にも大きく貢献する。

     

     緊急対策の「3年集中」に期待が高まる一方、「3年では短い」という声も上がる。全建の近藤会長は、「企業が将来の戦略を練る上では、10年スパンの中長期的な事業量、予算規模の明示が必要」との認識を示しており、引き続き、先が見通せるビジョンの明示を要請していく姿勢を見せる。

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    掲載日: 2018年11月1日 | presented by 建設通信新聞

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