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  • インフラ維持管理計画作成を支援/管理者の意図、的確に反映/三菱電機、東工大、鹿児島大

    【薩摩川内市の橋梁で実証開始】

     

     三菱電機と東京工業大学、鹿児島大学は、道路・鉄道管理者の意図に沿った土木インフラの長期維持管理計画を作成できる「土木インフラ維持管理計画の作成支援技術」を開発した。鹿児島県薩摩川内市が管理する橋梁を対象とした実証を11月から始めた。今後は対象地や対象インフラの種類の拡大を図る。

     

     インフラの予防保全は長期の維持管理計画を作成する必要がある。ただ、管理対象の構造物が多い上、例えば道路橋の健全度は点検結果で4段階に区分され、予算的制約や災害時の避難経路確保、第三者災害の防止といった管理者の狙いを踏まえた適切な補修順位を決定することは難しい。

     

     新技術は、橋梁を対象に、劣化進行のモデル化と多様な維持管理目的を指標化することで、維持管理目的指標の重み付けに応じて補修時期や補修コストを算出して計画を立案する。多様な視点での指標の重み付けが可能で、管理者の意図を反映しやすくした。

     

     薩摩川内市の実証に当たり、市が管理する538本のコンクリート橋データと点検結果を解析し、コンクリート橋の劣化進行に影響を与えるひび割れとコンクリートのはく離、鉄筋露出といった損傷に着目して劣化の進行速度を予測する独自の「劣化進行モデル」を考案。例えば点検の結果、2本の橋梁の健全度が同じと診断された場合、その後の劣化進行速度も同じと仮定して補修時期を推定することが多いものの、劣化進行モデルでは、損傷の種類から劣化の進行速度を予測し、健全度が同じだった2橋のうち早期に劣化する橋梁を見つけられる。

     

     補修費用は、ひび割れの深さやコンクリートのはく落面積などの損傷の種類と度合いで補修工法が異なり、コストも変化する。このため、種類と度合いに応じて補修コストを算出する「補修コストモデル」も作成し、劣化進行モデルと組み合わせた「劣化・コストモデル」で劣化進行に応じた補修コストを見積もれる。補修時期に達した時点で補修コストを一括計上するのではなく、補修時期に達する前後の時期でも劣化の進行度合いに応じた補修コストが分かるため、劣化が深刻になる前に補修することによる効果を見える化できる。

     

     管理者が設定する「災害時の避難経路確保を最優先」「コンクリート片落下による第三者被害の防止」といった維持管理目的を、要補修レベルや落下物の第三者被害による経済損失などの指標に変換し、「劣化・コストモデル」とあわせて定式化して最適解を導く。

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    掲載日: 2019年12月3日 | presented by 建設通信新聞

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