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  • 地域建設業/緊急事態 先行き受注に不安/柔軟な対応でチャンス/製造業の国内回帰も期待

     新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除の方向に向かう中、地域の建設会社には民間企業の投資マインドの減退による今秋以降の受注に対する不安が広がっている。一方で、社会生活の変化を踏まえ、「業種によっては好調な企業もあり、地域の問題と上手に向き合うとチャンスもある」(北陸の建設会社)と、柔軟に対応する姿勢をみせる地域建設会社も出始めている。

     

     4月7日の緊急事態宣言の発令以降、地域の建設会社は一部で中断した工事も発生したものの、多くは中断しておらず、足下の業績に大きな影響が出ている企業は多くない。ただ「民間の営業ができていない」(関西の建設会社)、「公共工事の発注者も職員の出勤者数を調整しており、工事発注が遅れがちになる傾向がある」(中国地方の建設会社)と4月以降の受注減が来期以降の業績に影響する可能性は高い。「4月からの受注がないことで、秋以降に小規模企業で問題が出てくるかも知れない」(関西の建設会社)とする声もある。

     

     直近の状況よりも不安要素が多いのが、先行きの受注環境だ。公共工事では国土交通省直轄工事の発注量を不安視する声は少ないものの、「県は、さまざまな業種に対する支援予算を組まなければならず、今後の新規工事を発注できる状況ではないようだ」(中国地方の専門工事会社)と指摘する声も上がる。

     

     さらに懸念されるのが、民間投資の減少だ。地場の鉄骨ファブリケーターをグループに抱える関東の建設会社は「前年同期と比べてかなり引き合いが少ない。夏の終わりから秋の案件が薄い。民間の投資マインドがかなり冷え込んでおり、設計者と施主の打ち合わせが止まったところもある」と受注減を不安視する。工場などの民間建築を専業とする関西の建設会社も「投資マインドが下がり、既に6-7件、金額にして40億-50億円ほどの着工延期、計画見合わせといった見直しがでている」と明かす。発注案件が減少し、「大手・準大手が中堅クラスの工事に、中堅クラスが地場ゼネコンクラスの工事に降りてきて、競争が激化する」(東北の建設会社)と秋以降の競争激化に強い懸念を示す。

     

     こうした環境を見据え、「当座貸越の枠を大幅に広げた」(関東の建設会社)、「資金はかき集められるだけ集めるよう指示した」(北陸の建設会社)と身構える企業も出ている。

     

     一方で「食品系の企業では、業務向けや百貨店向けは厳しいが、中食や冷凍食品は好調だ」(関西の建設会社)、「空室が増えたビルオーナーがビルを売り出すと、資金力のある会社が必ず投資用に買いに来て次の展開を生む」(中部の建設会社)と、社会変化を冷静に見つめる経営者もいる。東北の建設会社社長は「東京一極集中に対する不安が再燃するだろう。実際に、防災の観点からバックオフィスを仙台市に置こうという動きも少しずつでてきた。製造拠点の海外シフトが、国内に回帰する動きも加速するのではないか」とする。関東圏でも工事を手掛ける北陸の建設会社は「在宅勤務が増えることで、住宅改修など小中規模マンションの修繕投資は堅調に推移するのではないか。物流系でも個人向けの配送が増え、冷蔵設備を備える倉庫への更新を希望する企業も増えている」と、アンテナを高く張って危機に対応する考え。

     

     新型コロナウイルスは、社会経済に大きなインパクトを与えており建設投資への影響も小さくないが、地域の建設会社は地域とともに踏ん張ろうとしている。

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    掲載日: 2020年5月22日 | presented by 建設通信新聞

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