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  • 変革の時機・制度改正を読み解く〈改正建設業法編〉2

    【働き方と生産性向上の両輪/技術検定再編で若手育成促す/挑戦する企業にインセンティブ】

     

     企業が働き方改革を進めるには、それと同じだけの生産性向上が不可欠である。その意味で今回の建設業法の改正では、著しく短い工期の禁止など規制的な側面だけでなく、監理技術者の専任緩和など生産性向上の余地を生み出す緩和的な側面の両面をあわせ持つ。特に監理技術者制度に関しては、技術検定の再編と結びつけることで、生産性向上と人材育成の双方の観点から、企業に変革を促す仕組みを整えた。

     

     改正建設業法で、一定規模以上の工事で専任が義務付けられている監理技術者について、2現場の兼務が認められる「特例監理技術者制度」を創設した。この特例監理技術者制度は2021年4月に施行する技術検定制度の再編と一体的に捉える必要がある。制度を活用するには、新たな技術検定で1級1次検定に合格している技士補を専任で配置する必要があるからだ。

     

     技術検定の再編は、学科、実地の両試験での合格をもって、1級または2級の技士となれる現行制度から、第1次検定合格者を「技士補」、第2次検定合格者を「技士」とする。試験によって確認する知識・能力はこれまでと同等の水準を維持しながら、枠組みを変更することによって、若いうちから獲得できる資格を設け、技術者としてのキャリアパスを明確にする狙いがある。

     

     その新設した技士補(1級)に監理技術者の補佐者としての役割を与えることで、企業にとっては、資格を持つ若手技術者の経験を積ませることができるメリットが生まれる。また、特例監理技術者制度は、ICT化や書類の電子化など新技術による業務の効率化も見据える。補佐者を置くとはいえ、品質担保の視点で監理技術者にはこれまでと同様の責務を求めることから、業務の負担軽減は欠かせない。

     

     つまり、若手技術者の育成や新技術活用による生産性向上など、企業としての価値を高める取り組みに絶えず挑戦する建設業者に対して、兼務容認という形でインセンティブを付与する。

     

     技術者に関するもう1つの新制度である「特定専門工事」は、施工体制の上位業者の主任技術者が一定の指導監督的な実務の経験を保有し、その工事現場に専任で従事する場合、下位業者の主任技術者の現場配置を省略できる仕組みだ。

     

     これまでの規定では例えば、1次下請けの直用労働者が不足し、その不足を補うための再下請けだったとしても、下位業者には1次下請けと同様に主任技術者の配置が義務付けられていた。現場の実態に即した形で制度の合理化を図ることで、技術者不足の解消への貢献が期待される。当面は下請代金の合計額が3500万円未満の鉄筋工事か型枠工事に対象が限定されるが、職種や金額の拡大も視野に検討を進めるとしている。

     

     今回の法改正によって、著しく短い工期の禁止や社会保険加入の許可要件化で働く人への最低限の処遇を保障しながら、技術者配置の緩和と技術検定の再編で担い手の効率的な活用と育成につなげる。持続的に働き方改革と生産性向上を両輪で進めることが、これからの建設企業に求められていることを新制度から読み解くことができる。

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    掲載日: 2020年10月2日 | presented by 建設通信新聞

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