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  • 納期分散へ国債・繰越柔軟に/技術力選定 粘り強く浸透を/建コン協地域ブロック意見交換会

     8月6日の九州ブロックからスタートした建設コンサルタンツ協会(高野登会長)と国土交通省地方整備局などとの2020年度の地域ブロック意見交換会は、12月開催の沖縄と台風の影響で年明けに延期となった中国の2ブロックを除き、8日の関東で全国8地区を終了し、一区切りを迎えた。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からウェブ会議方式を初めて導入した今回の意見交換会では、従前以上にポイントを絞った形で議論が繰り広げられた。その成果と課題を「担い手確保・育成のための環境整備」と「技術力による選定」を中心にまとめた。

     

     最大の焦点となったのは、依然として年度末に履行期限(納期)が集中する実態の改善だ。協会は、目指すべき納期目標(案)として、第4四半期が40%程度、うち3月は30%程度とすることを提案。特にゼロ国債の積極的な活用と標準履行期間の確実な確保によって発注手続きを半年前倒すことで3月に集中する納期の「山」を9月に分散できると訴えた。

     

     これに対し、各地方整備局とも履行期限の平準化は重要と認識し、分散に取り組む姿勢を示したものの、四半期ごとに各局が設定した20年度の数値目標を見ると、第4四半期は70-60%以下の範囲となっており、協会の目標とは大きな乖離(かいり)がある。

     

     一方で、改正労働基準法の適用初年度となった19年度の実績では、新型コロナ対応に伴う業務の一時中止などの影響もあり、3月納期の割合が九州整備局で32%、北陸や四国では20%台になるなど大きく低減していることも明らかになった。

     

     19年度は台風15号・19号など相次ぐ大規模自然災害への対応にも追われただけに、協会の中村克己常任理事・対外活動委員長は「結果として36協定に違反する会社もなく“ブラック企業”と呼ばれずに済んだ」と安堵の表情を見せつつ、これをイレギュラーな突発的事態とすることなく、20年度もゼロ国債を含む国債・翌債の積極活用と繰越の柔軟な運用を要請。高野会長も「納期の平準化やウィークリースタンスの徹底は労働環境の改善と生産性向上の重要なポイント」として、発注者のさらなる理解とともに実態に即した対応を求める。

     

     高野会長は技術力による選定についても、「いくら知的労働者として経験を重ね技術力を高めても、価格競争で安ければ良いという競争では魅力のない業界として若者から選ばれない」と各地区の発注者、とりわけ地方自治体の参加者に熱く語りかけ、担い手の確保やインフラの質の確保、業界全体の技術力向上に対するインセンティブを与える観点からも総合評価落札方式やプロポーザル方式の導入拡大を訴えた。

     

     土木設計での総合評価とプロポーザル方式の適用率6割を目標とする東京都のように先駆的な自治体もある一方で実施ゼロの自治体も少なくないだけに、協会では実体としての発注件数を1件でも多く積み増すよう今後も働き掛ける姿勢だ。各整備局もそれぞれの地域での発注者協議会の場などを通じて自治体の連携を深めながら技術力による選定が浸透するよう後押しする考えを示しており、受発注者双方がどれだけ粘り強く歩を進めていけるかが問われそうだ。

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    掲載日: 2020年10月9日 | presented by 建設通信新聞

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