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事故防止にAI活用視野/双方向でデータ解析発生リスクを未然予測/国交省/SASデータからの分析
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>建設工事における事故をいかにして未然に防ぐか。そのための取り組みが、蓄積した事故情報から発生の要因や傾向をあぶり出す「データ解析」だ。解析したデータから対策を導くことで、予見できない事故のリスクを未然に摘み取ることができれば、建設工事の安全性や信頼性は増す。国土交通省は、そのデータ解析の手段としてAI(人工知能)の活用を視野に入れる。 解析のターゲットは同省が運用する「建設工事事故データベース(SASデータ)」に蓄積されている約1万6000件の事故データ。情報の“量”という点で、AIによる解析を行うだけのビッグデータとは言い難いが、導き出す情報の“質”次第で事故リスクの低減や施工管理の高度化に役立つ。
例えば、過去の事故データから事故が起こりやすい気温や湿度、風速といった天候情報、時間帯などを抽出。そのリスク要因を実際に施工が行われている現場データに関連づけて分析・解析することができれば、その現場ごとに事故の発生リスクが高いポイントを“予見”できるからだ。
現状でも蓄積したデータから重機事故や墜落事故、飛来・落下事故といった種別ごとの傾向などを分析。事故が発生する時間帯(午前11時台や午後2時台に多い)や、初期(全体の工期に占める1割以内)に起こりやすいといった傾向から導き出せる情報を各地方整備局に周知するなど、データ分析・活用という一定の“仕組み”は存在している。
しかし、人が行う分析だけに、いわば“一方向”の分析にとどまっているというのが実情。そこにAIを組み込むことができれば、現場データやその日の天候など、複数のリスク要因と情報を組み合わせた“双方向”の解析が可能になるというわけだ。
より詳細な分析・解析によって本来、予見することができない事故のリスクを予測できれば、事故の発生を未然に防ぐことにつながる。それは結果として、事故の防止対策だけでなく、施工管理の高度化に役立つ。
i-Constructionに代表されるように、省全体の1つの方向性としてICTやAIなど新技術の積極的な活用が打ち出される中、建設生産・管理システムに革新的技術を取り込んでいく視点は、人口減少や高齢化に向き合うわが国の建設産業にとって欠かすことができない。建設工事の安全性や信頼性の担保という意味でも具体化が期待されることになる。
SASデータは、1993年以降の事故情報を蓄積している国土交通省の「建設工事事故データベース」を指す。直轄工事だけでなく、地方自治体なども活用している。対象範囲が公共工事、とりわけ多くが土木となっている点が特徴となる。
2010-15年度の5年間における事故データの分析によると、労働災害、公衆災害に共通して午前は11時台、午後は14時台に事故発生のピークが出現する。
また、一般的なイメージからすると、工期末などの切迫した状況で事故が起こるものと思われやすいが、作業の進捗度合いや工期に関する分析で、当該作業の初期段階(作業全体の1割以内)や工期の初期段階(工期全体の1割以内)での事故が多い傾向にあるという。
残り50%掲載日: 2018年2月22日 | presented by 建設通信新聞