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  • 2021年業界を読む・ゼネコン㊤

    【競争激化の宿命に立ち向かう/付加価値競争が本格化】

     

     新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えない。その影響がゼネコン各社の経営に与えるインパクトは大きい。景気の低迷を背景にかねて指摘されてきた民間市場での厳しい受注環境が継続することになるからだ。この行き着く先は利益率の低下に他ならない。ゼネコン各社はいかに現下の受注環境に向き合っていくのか。その対応がいま問われている。

     

     厳しい受注環境への対応が2021年の動向を占う最大のテーマとなる。コロナショックを背景に総じて設備投資の動きが鈍く、「発注ボリュームが小さくなると競争環境が厳しくなるのは請負の宿命だ。来期(22年3月期)も厳しい受注環境が続く」というのがゼネコン各社の共通認識だ。

     

     先行きは「21年を谷に22年には一気に需要が伸びる」「コロナ禍が収束した後にすぐに動き出せるよう、建築の設備投資意欲は21年中には回復するのではないか」といった見方がある一方で、「マインドの問題が大きいだけに(民間需要の)V字回復は厳しいのではないか。(顧客の立場からすれば)社会全体の景気が戻ってきたという“実感”があってようやく設備投資に向かう」とする声もあり、投資意欲が目に見えて回復するのはまだ先。

     

     パイが減る中で激しい受注競争を繰り返せば「(結果として)利益は減少する。それでも企業規模に見合う受注量を確保するための競争を続けるのが、建設業の姿。そうした“建設市場の構図”をコントロールはできない」というようにゼネコン各社にとって現下の受注環境への対応はまさに経営戦略そのものだ。

     

     とりわけ大型プロジェクトで一斉に各社の“見積もり合戦”となれば、価格競争は激化する。その中で、いままでと同じ生産システムで利益を毀損(きそん)するのか、生産システムそのものを変革して競争が厳しくても利益を生むようにするのかが問われており、それを実現するためにもプロジェクトの川上段階から競争を優位に進める「価格だけではない提案力」を示せるかが大きなポイントになる。

     

     いかに顧客に対する「付加価値」を生み出すか。まさに「モノ」だけではない「コト」づくりが勝負の分かれ目になっていく。ゼネコン各社がかつてのような価格競争ではない、「付加価値競争」に動くのは、「価格競争によって無理に仕事をとることが続けば、産業自体を壊してしまう」「これまで建設業が危機感を持って取り組んできた経験がある以上、大きく(価格競争に)後戻りすることはない。下請けの見方も厳しくなっており、かつてのような競争をすれば、働いている人が見切りを付けるので、長続きはしない」という思いが土台にあるからだ。ゼネコン各社の経営トップは確実に「過度な価格競争はすべきでない」という共通認識の上に立っている。

     

     現下の受注環境の中で、それぞれの企業に見合う「規模感」と「利益率」のバランスをいかに確保できるか。各社が徹底した技術力・提案力の強化を武器に適正な競争を繰り広げればこそ“コロナ禍”からの回復への道が拓けることになりそうだ。

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    掲載日: 2021年1月6日 | presented by 建設通信新聞

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