建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
JAXA 建設産業と連携活発/大林組 月・火星の原料で建設材製造
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>宇宙航空研究開発機構(JAXA)と建設関連産業との連携が活発化している。人工衛星で地上のインフラをモニタリングするシステムは、政府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)を通じてゼネコンやコンサルタント会社と共同研究を進めたほか、異分野の人材・知識を集めて新しい研究に取り組むために2015年4月に設置した「宇宙探査イノベーションハブ」を通じたゼネコンとの共同研究も実を結び始めている。12日には、大林組がJAXAとの共同研究として、月や火星の材料を使った建設材料の製造方法について発表した。 大林組は、1990年ごろに実施した研究で月や火星でのマイクロ波やコールドプレスによるブロック製造の可能性を確認したことがある。ただ、環境や構造物の用途に合わせた加熱焼成温度の制御法やコールドプレスによる材料強度への影響などが懸念されていた。今回、宇宙探査イノベーションハブの研究テーマとしてJAXAに提案し、共同研究することになった。
月では、水の調達が難しいため、マイクロ波加熱を適用する。月の模擬表土にマイクロ波を照射して1100度程度で一定時間加熱すると、土粒子表面が溶けて結合し、普通レンガ相当の強度を持つ内部に空隙のある固化体を生成できる。1100度以上に加熱すると、土粒子が完全に溶けてコンクリート相当の強度で内部に空隙のない固化体となる。月の重力が地球の約6分の1であることを踏まえ、居住施設などの構造材料や放射線遮へい材には普通レンガ相当の強度を持つ固化体、ロケット発着場の基盤や道路などにはコンクリート相当の強度を持つ固化体を使用することを想定している。
火星では、粘土鉱物があり、水も氷の状態で入手できると推測されることから、水分を含む粘土鉱物と砂を混合し、常温で高い圧力をかける「コールドプレス」でブロック型の建設材料を製造する。火星は大気の密度が地球の約100分の1のため、ブロックの強度が地球上より1割程度増加することが分かっており、重力が地球の約3分の1の火星で居住施設などの構造材料や放射線遮へい材として使用する場合には、普通レンガ相当の強度で十分と考えている。
今後は、ブロックの大型化や品質の安定化を進めるほか、地上で適切な資材が得られない地域での建設材料製造での応用も検討する。
大林組では、JAXA、静岡大学、有人宇宙システムによる航空宇宙産業向け先端材料カーボンナノチューブの実用化検証について3月に発表している。JAXAのインフラモニタリングシステムでは、五洋建設と日本工営が共同研究に参画。また竹中工務店も宇宙探査イノベーションハブの共同研究として、産学連携による宇宙滞在技術の研究開発の開始について7月に発表したほか、17年5月には竹中土木とJAXAとの共同で盛土締め固め試験自動化ロボットを開発した。鹿島も、次世代建設生産システム「クワッドアクセル」が宇宙イノベーションハブによる共同提案に採択されている。
残り50%掲載日: 2018年9月13日 | presented by 建設通信新聞