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  • 現場の逸品・45m先からひび割れ計測/クモノスコーポレーション『KUMONOS』

    【写真データとの併用が主流に】

     

     クモノスコーポレーション(大阪府箕面市、中庭和秀社長)が提供するコンクリート構造物のひび割れ計測システム『KUMONOS』が着実に深化を遂げている。45m先の遠方からでもひび割れ幅0.2mmを計測できる強みを武器に、2006年の発売から着実に販売数を伸ばし、いまでは国内外合わせて200台もの実績を誇る。企画開発部の藤田誠二部長は「これからは写真データと組み合わせたひび割れ計測が今後の主流になるだろう」と先を見据えている。 ひび割れ計測作業は、これまでひび割れ位置をスケッチし、それをCAD図面に反映した上で管理していた。高所作業車を使うほか、場合によっては仮設足場を組み、作業員が定規を当ててひび割れの厳密な幅を図っていた。

     

     KUMONOSはレーザー測量器の中にひび割れ寸法を測るクラックスケールの目盛りを入れることで、ひび割れ幅を厳密に把握できるようにした。藤田氏は「測量器から長い手を伸ばしてひび割れ幅を計れるようなイメージと理解してほしい」と説明する。

     

     1995年に関西工事測量として誕生した同社は、阪神大震災の復興支援を目的に活動し、工事測量を軸に成長してきた。「測れないものを測る」という中庭社長の強い思いから、3次元レーザースキャナーを測量分野にいち早く導入するなど積極的に新技術の導入を推し進めてきた。

     

     そもそもKUMONOSは自らの業務ツールとして活用してきたが、取引先から商品化の声が広がり、06年から外販に踏み切った。地元の測量会社を中心に販売を進めながら、その評判が口コミで広がり、建設コンサルタント、ゼネコン、非破壊検査会社などからも注文が増えた。

     

     年間3億円ほどの売り上げを安定して確保しており、現在は全体の5分の1を占める。藤田氏は「当初は売り上げの半分近くを占めていたが、15年の社名変更をきっかけに業務も多様化し、おかげさまで全体売り上げも着実に上がっている」と明かす。現在の業務は工事測量、3次元計測、外壁診断、構造物点検など多岐にわたる。16年には米国カリフォルニア州にも拠点を置いた。

     

     活動範囲も広がり、前身の関西工事測量では「東京で仕事がしにくい」などのジレンマがあった。社名変更では取引先からの公募と投票により、システム名でもあり、知名度の高かったKUMONOSが選ばれた。クモの巣のように世界中にネットワークを張りめぐらせるという思いをロゴマークにも込めた。

     

     ノンプリズム光波測量器に同心円状のクラックスケールを内蔵したKUMONOSは、ひび割れを点計測しながら幅とともに座標位置も把握する。スケッチしてCADにトレースする従来のやり方に比べ、高精度でスピードも格段に速い。構造物の図面がなくても対応でき、数量表も算出できるため、補修工事の見積もりにも使える。

     

     価格(税抜き)は専用測量器とソフトのシステムトータルで500万円。既に国内では150セット、海外では50セットを販売済み。発売開始からこれまでに5回のバージョンアップを実施してきた。ユーザーからはさらに計測精度の高い要望も出てきたことから、一眼レフの写真データと計測データを組み合わせるソフトも価格200万円で追加システム『シン・クモノス』の販売を始めた。

     

     シン・クモノスは従来通りにKOMONOSでひび割れを計測した上で、細かな部分は事務所で写真データを見ながら把握できるもので、120m先から0.2mm幅のひび割れを確認できるため、計測距離はKUMONOSの2.6倍にも達する。藤田氏は「室内で落ち着いて仕事ができ、業務の効率も格段に上がる。現在は今後の主流になる写真計測を軸に提案を始めている」と力を込める。KUMONOSは、海外でクモの巣は縁起ものと言われるだけに「グローバルに通用する社名」としている。現在のシステムは日本語と英語に対応しているが、中国語、ロシア語、ポルトガル語への対応準備も進めている。

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    掲載日: 2018年9月21日 | presented by 建設通信新聞

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