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自治体予定価格に不信感/実質的な歩切り存在の疑い/全建調査で浮き彫り
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>地方自治体発注工事の予定価格設定に対して地域建設業が疑惑のまなざしを向けている。全国建設業協会(近藤晴貞会長)が各都道府県建協と会員企業を対象に実施したアンケート結果を見ると、都道府県、市区町村に歩切りの廃止を求める声が根強く残り、「予算に合わせるための数量・単価調整が行われているのでは」「積算段階での実質的な歩切りが存在する」などの声が上がっている。適正な積算に基づかないと思われる予定価格への不満が、自治体による“歩切り疑惑”という形で噴出している。
インフラの将来にわたる品質確保と、その担い手の中長期的な育成・確保を図るため、発注者の責務が大幅に拡充された改正品確法(公共工事品質確保促進法)では、適正な積算に基づく設計書金額を一部控除して予定価格を設定する歩切りは「違法」であることが明確化されている。
全建が7-9月に47都道府県建協と会員企業を対象に実施した「改正品確法に基づく発注者関係事務の運用に関する指針(運用指針)の運用状況等に関するアンケート」では、指針に基づいて都道府県、市区町で運用されている取り組みへの回答で「歩切りの廃止」は建協、会員とも上位に位置しており、一定の改善傾向がうかがえる。
一方、都道府県、市区、町村に対して、「歩切りの廃止」を訴える声も根強い。さらなる運用を求める事項のうち、「歩切りの廃止」に対する会員企業の回答割合は、都道府県が18%、市区が31%、町村が37%となっており、予定価格の設定過程に不信感を示す会員も少なくない。
予定価格の設定に対しては「予定価格からの歩切りはなくなったが、積算段階での調整による実質的な歩切りが存在する」「予定価格の設定に当たって、市町では設計コンサルタントへの依存度が高く、予算に合わせるための数量・単価調整がされているのではないかと感じることがある」などの声が上がっている。
アンケート結果を踏まえ、全建は「歩切りの具体的な内容については聞いていないので、今後、深掘りしていくことも検討したい」としている。
歩切りによる予定価格の不当な引き下げは、見積もり能力のある建設業者の排除やダンピング(過度な安値受注)の助長による工事品質・安全確保への支障を引き起こす恐れがあることから、国土交通省は総務省と連携して自治体に再三の改善を要請している。
両省が全1788自治体を対象に実施した調査では、「設計書金額と予定価格が同額」と回答した自治体数は2015年1月には1031だったが、17年11月には1646に増加するなど改善が進んでいる。一方、「端数処理などを行っている団体」は17年11月時点で142自治体ある。
残り50%掲載日: 2018年10月12日 | presented by 建設通信新聞