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  • 全建ブロック会議総括・役割を未来につなぐ=下=

    【自助努力だけでは限界/改革前進へ支援拡充を】

     

     i-Constructionや週休2日を始めとする働き方改革の波が矢継ぎ早に押し寄せる中、各ブロック会議では、改革の前提である健全経営の裏付けとなる適正利潤の確保を求める意見が相次いだ。建設業の働き方改革が国を挙げた至上命題となる中、経営環境が厳しい地域建設業からは、「自助努力だけでは限界がある」と、さらなる“公的支援”の拡充を求める声が高まっている。

     

     財務省の法人企業統計によれば、2017年度の大規模建設企業(資本金10億円以上)の営業利益率は7.4%なのに対し、中規模建設企業(同1億円以上10億円未満)は5.0%、小規模建設企業(同1億円未満)は3.1%と、大きく水をあけられている。中小企業の割合が高い地域建設業者は利益面で厳しい状況に置かれている。

     

     建設業協会東海4県ブロック会議では、「厳しい環境に置かれている地域建設業が、生産性向上や働き方改革への取り組みを加速させ、将来にわたって社会的使命を果たしていくためには適正利潤の確保による経営の安定が不可欠」とし、事業量の確保と受注機会の拡大を訴えた。

     

     i-Conの推進に対しては、近畿建設業団体協議会が、施工管理に必要な機器やソフトウェア、職員の教育訓練などに要する経費の確実な積算への計上を求めた。少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が確実視される中、ICTなどの活用による生産性向上の必要性は理解できるが、低利益にあえぐ地域建設業は設備投資もままならない状況下にある。

     

     全国建設業協会が会員を対象に実施した調査結果によると、約5割がICT活用工事に「積極的に参加する」と回答する一方、設備投資に多大な経費がかかるほか、ICT建機のリース料が高く、工事採算が取れないといった理由で消極的にならざるを得ない地域建設業も多い。

     

     九州のある建設業協会幹部は、経営状況や事業規模など先の見通しが分からない状況下で、「ICTの導入によってどこまでメリットが出るのか不透明で、設備投資分が回収できるかが読めないため、なかなか踏み切れない」と自社の対応に苦慮している。

     

     適正な利潤の確保に向けては、各地区で改正品確法(公共工事品質確保促進法)の趣旨と運用指針の徹底を求める声が上がった。東北建設業協会連合会は、公共工事の減少に伴う受注競争の激化によるダンピング(過度な安値受注)の弊害を懸念し、企業の適切な経費や工事品質の確保、労働災害撲滅を図るため、国、地方自治体の調査基準価格引き上げを要望した。

     

     関東甲信越地方ブロック会議では、低入札調査の体制が確保されていないにもかかわらず、総合評価を採用した結果、調査基準価格が機能しないケースや設計変更にまったく応じないなど、問題のある自治体の事例を取り上げた上で、改正品確法運用指針の徹底を求める場面もあった。

     

     各地区でのさまざまな要望に対し、国土交通省の幹部は前向きに対応する姿勢を見せた。また、6年連続で引き上げている設計労務単価については、現場で働く労働者すべてに効果が波及するような取り組みを各地区で要請した。

     

     全建の近藤晴貞会長は、「国交省、地域建設業とも、お互いに目指す方向は同じ。同じ目的意識の下で良い意見交換ができている」と地域懇談会・ブロック会議を振り返った。経営安定化に向けた事業量や適正利潤の確保、働き方改革への対応について発注者と引き続き議論を深め、地域建設業が役割を将来につなぐために「必要な施策を提示していきたい」と力を込める。(岡部敦己)

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    掲載日: 2018年11月5日 | presented by 建設通信新聞

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