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  • 連載・IM未来図(元年から10年)/大林組(1)

    【ワンモデルBIMへの挑戦/情報伝達のあり方変える】

     

     2019年に日本のBIMが10年の節目を迎える。“BIM元年”と称された09年当時は3次元の可視化効果に注目が集まったが、10年の歳月を経て、BIMは生産性向上の手段として大きな変貌を遂げようとしている。建築設計事務所は設計ワークフローの再構築に動き出し、ゼネコンは設計施工一貫プロジェクトのプラットフォームにBIMを位置付ける。急速に変貌するBIMのいまを追った。

     

     「これが今後の主流になることは間違いない」。大林組が大阪市内で施工する大阪みなと中央病院工事の池本和清所長は、社を挙げて試行に踏み切ったワンモデルBIMの可能性を誰よりも感じている1人だ。プロジェクト関係者が1つのモデルから情報を出し入れするワンモデルBIMの試みは、設計変更などがあった場合、すべての関連情報が連動しているため、その都度の図面の書き直しなどの手間が必要なくなり、建築生産における情報伝達のあり方もこれまでとは大きく変わってくる。同社は建築生産の新しい価値創造を実現する手段として、ワンモデルBIMを掲げ、その試金石に同現場を位置付ける。

     

     これまでゼネコンでは、2次元で作成した設計図書を下敷きにBIMモデルを構築してきた。設計担当者にとってはモデル作成が負担になり、しかも設計変更などの際にBIMモデルの整合性を保ち、常に最新のモデルを現場に提供する大変さもあった。ワンモデルBIMの推進役を担う建築本部PDセンターの中嶋潤副部長は「大きな一歩を踏み出した」と手応えを口にする。

     

     大手ゼネコンの中でも、同社はBIMにいち早く取り組んできた。13年には建築本部のBIM推進室を発展させ、現在の中心的な役割を担うPDセンター体制を構築。16年4月には大阪本店にPDセンターの大阪駐在を置くなど、BIM活用に向けた社内体制の拡充を推し進めた。当時はまだワンモデルという明確な考え方はなかったものの、建築生産システムの中でデータを一貫して共有する方向性を模索していた。

     

     社としてワンモデルBIMを位置付けたのは17年4月からだ。BIM標準ソフトにオートデスクの『Revit』を定め、同年11月には本支店にBIMマネジメント課を発足し、現場への支援を担うBIMマネジャーという役割も設けた。村田俊彦常務執行役員建築本部長が「仕事のやり方や情報伝達のあり方が変わるきっかけになる」と大きな期待を寄せるように、同社は新たな建築生産の確立に向け、ワンモデルBIMへの挑戦を明確に打ち出した。

     

     そのパイロットプロジェクトに指定された際、大阪みなと中央病院工事では実施設計の真最中だった。基本設計からRevitを駆使していた設計担当は、かねてから意匠と構造の統合モデルを作成するプランを持っていたこともあり、タイミングよくワンモデルBIMの初弾プロジェクトとして白羽の矢が立てられた。

     

     「ここでの成果が大林のBIMの明暗を左右する」と建築本部PDセンターの田岡登部長が関係者の思いを代弁するように、現場はワンモデルBIMを軸に回り始めた。着工したのは17年12月。真っ先に変わり始めたのは現場担当者の意識だった。

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    掲載日: 2018年11月26日 | presented by 建設通信新聞

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