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  • 「守る」ための投資-強靱化3か年緊急対策・上/総事業費7兆円、実施項目は160

    ◇本当の勝負は4年目以降

     

     国の来年度予算で10年ぶりの高水準となる7兆円規模の公共事業関係費が現実味を帯びている。全国で頻発する大規模な自然災害を踏まえ、19・20年度予算では従来の枠と別に、「命を守る」ための重要インフラ整備などに充てる特別計上枠が設けられる。国土の強靱(きょうじん)化を実現していく上で安定的、持続的な公共事業関係費が確保されることへの期待は大きい。(国土強靱化対策取材班)

     

     政府が14日に閣議決定した「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(18~20年度)。官民合わせて総事業費約7兆円を投じ、計160項目の対策に取り組む。財源の大部分は国と地方自治体で捻出し、公共事業として取り組む。野党時代から国土強靱化の必要性を強く訴えてきた自民党の佐藤信秋参院議員は、政府・与党の一連の対応に「頑張ってもらえた」と謝意を示した。

     

     事業費の約3・6兆円は河川堤防かさ上げなど、命を守るための防災・減災対策に充てる。約3・4兆円は主に経済や暮らしを守るための重要インフラ整備に投入。大規模災害が起きても道路や鉄道、空港といった基幹交通網の機能を継続するための耐震化・耐水化などに使う。

     

     国土交通省のある技術系幹部は、「事業の性質を考えると、防災・減災対策は地場の建設業者が中心となって進んでいくのではないか。経済や暮らしを守る取り組みは大手を含め全国の建設会社が進めていくことになるだろう」との見方を示す。別の事務系幹部は今後3年間で大幅に増える事業の執行に向け、「設計や測量、コンサルタントなど建設技術サービス業も含めたオール建設業で臨んでいくことが不可欠だ」と指摘する。

     

     第2次安倍政権の方針が本格的に反映された14年度以降の公共事業関係費を見ると、当初予算は5年連続で約6兆円を計上。補正予算と合わせると7兆円前後で推移してきた。

     

     政府が21日にも決定する19年度予算案では、19年10月から予定される消費税率引き上げに備える景気対策で設ける特別計上枠を活用。景気の腰折れを防ぐ観点からも緊急対策を進めていくため、公共事業関係費は従来の6兆円に1兆円を上積みし、7兆円規模にする方向で最終調整している。実現すれば、民主党政権に代わる前年に麻生政権が編成した09年度(7・1兆円)以来となる。

     

     19年度と同様に特別計上枠が設けられる20年度も、公共事業関係費に手厚い予算が振り向けられる可能性は高い。だが前出の国交省技術系幹部は「本当の勝負は緊急対策が終わる『4年目』以降だ。21年度予算で現在の水準に戻れば、公共事業や建設業を巡る環境は抜本的に変わらないだろう」と見る。

     

     同様に前出の国交省事務系幹部は、土木学会が6月に試算結果を発表した南海トラフ巨大地震の経済被害額(20年累計で1240兆円)と、公共インフラの耐震化などによる被害の減災額(509兆円)を引き合いに、「大規模災害が頻発する中、そもそも強靱化がわずか7兆円、3年間で終わるはずがない」と警鐘を鳴らす。

     

     緊急対策を具体化するための公共事業関係費を巡っては、建設国債の増発などを理由に過剰と懸念する声も挙がっている。そうした見方に対し、あるゼネコンの首脳は「(緊急対策に伴う)事業量が多すぎるなんてことは全くない。今でも地域業者の事業量は足らないくらいだ」と反論する。

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    掲載日: 2018年12月20日 | presented by 日刊建設工業新聞

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