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建設論評・好調を持続する建設業界
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>「平成」最後の年が明けた。新年に当たり、建設業界のことし1年を展望してみたい。
その前に平成の30年。この30年間は、わが国経済にとって激動の時代であった。異常なバブル経済の終わりを見届け、一転して奈落の“失われた20年”を青息吐息でどうにか乗り切り、その褒美かどうか、戦後最長の「いざなぎ景気」に並んだと喧伝される政府発表の好景気の真っ只中にあるのが平成最後の年であり、5月1日に施行される新たな元号を戴くこれからの1年である。
未曾有の好調と苦境、そして最近の絶好調を体現している産業の代表格が、わが建設業界である。バブル期は多分に漏れず、建設業界も一部の企業を除き、浮かれ、我が世の春を謳歌した。虚業がのさばり、建設業の代名詞でもある額に汗する実業の存在感は風前の灯火となったが、折悪しく好業績が価値観や尊厳にとって深刻な事態を覆い隠した。
1991(平成3)年2月までの51カ月間に及んだバブルが弾けた後の“建設業冬の時代”は、改めて言及するまでもなく倒産が後を絶たず、生き残りをかけた合従連衡も相次いだ。建設投資は84兆円をピークに減少に転じ、2010(平成22)年には42兆円にまで半減。なかでも01(同13)年に発足した小泉政権による公共事業予算10%削減政策と、民主党政権にまで続く公共事業抑制策で、特に地方建設企業は息の根を止められる。11年度に60万者を超えた建設許可業者数は、建設投資額が底を打った10年度には10万以上減って50万者を割り込んだ。
吹き荒れる北風が止み、建設業界に暖かい陽の光が射すのは第2次安倍政権からである。ほんのこの5、6年のことである。平成の3分の2を占める北風の時代から一転、わずかではあるが、公共投資は増加基調に転じ、民需を含めた18年度の建設投資見通しは57兆円台にまで盛り返している。同時に、建設企業の経営環境も好転、特に全国ゼネコンなどの決算は、バブル期をしのぐ史上最高益に沸いている。政府が旗を振る景気優先の政策と、建設業界に限っては国土強靱化の取り組みと公共工事品質確保促進法の施行などを背景に、何と言っても13年度から6年連続の公共工事設計労務単価の引き上げ改定が大きい。それは民需にも波及しており、受注単価に関しては人手不足も追い風だ。
元号が替わったからといって経済環境が一夜に変わるわけでないのは自明のこと。国内の建設需要はまだら模様ながら、首都圏を筆頭に、福岡地区など底堅い。万博誘致決定が関西地区にもたらす経済効果もあろう。19年度の政府予算のうち、公共事業関係費は15%増の6兆9000億円が閣議決定されたし、今年度の第2次補正予算でも公共事業関係費として1兆1398億円が確保された。建設の経営環境は順風の中にある。
長期的には人口減少による国力の後退は避けられず、国内建設市場も縮小は不可避だが、それらへの対策を念頭に、ことしはまだ“夏の時代”を謳歌したいものである。 (惠)
残り50%掲載日: 2019年1月7日 | presented by 建設通信新聞