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  • 現場から・前田建設と帝人/世界初のAFRW建築/木の風合い快適な空間

    【オーバーハングで剛性と耐力表現】

     

     前田建設と帝人による高機能繊維補強木材「AFRW(Advanced Fiber Reinforced Wood)」を活用した建築プロジェクトが、東京都日野市の帝人東京研究センターで進んでいる。AFRWを構造材として実用化する世界初の取り組みで、木の風合いを維持しつつ開放的で快適な空間を構築する。3月末の引き渡しに向けて前田建設の西川功所長は「実験性の高いプロジェクトだが、完成へ着実に進めていく」と話す。

     

     帝人が2015年に開発したAFRWは、炭素繊維などの高機能繊維で補強した集成材。鉄骨と同等の強度を持ち、耐久性や意匠性の向上につながる。

     

     今回の第1号案件は2つのホールを備える事務所を建設する。規模はRC一部木造2階建て延べ205㎡。設計施工は前田建設。18年10月に着工し、現在の進捗率は45%。

     

     建物西側の入り口部とホールBは木造、中央部はRC造、建物東側はAFRWを使った5mのオーバーハングによるホールAとし、それぞれの個所で「これまでの100年」「現在」「これからの100年」を表現した。意匠設計を担当した前田建設の三箇将容建築事業本部建築設計第1部設計第1グループリーダーは「AFRWのエリアは外部に広く開いており、社会に開いた価値を社会とつながりながらつくる方向性を示す空間に仕上げた」と語る。

     

     指定建築材料ではないAFRWを使用するため、18年5月に第三者機関による材料評定、同年7月に国土交通大臣認定を取得した。使用部位は地震力を負担しない小梁とすることで実験や解析などの時間を短縮。中央のRC造エリアでAFRWと木造部の地震力を負担する構造となる。

     

     最大の特徴であるオーバーハングの先端には柱がなく、開放的な空間を表現しており「AFRWの高い剛性と耐力を視覚的に体験できる」(渡邉義隆前田建設建築事業本部構造設計部構造第2グループチーム長)計画とした。

     

     今回使用するAFRWは杉と炭素繊維で構成し、通常の杉集成材と比べ3-4倍の剛性を確保した。施工性は通常の集成材と同等で、西川所長は「AFRWによる施工上のデメリットはない」と強調する。

     

     完成後は7年間にわたり実証実験を実施し、接合部の剛性や耐力、AFRWの耐久性などを評価する。帝人の尾崎大介アラミド事業本部ソリューション開発部長は、AFRWの外販も見据え「19-20年度には2件目のプロジェクトに取り組みたい」と意欲を示す。

     

     将来の都市型木造建築への適用も目指しており、前田建設の窪崎小巻建築事業本部先進設計開発部先進第1グループ長は「木造の耐火技術を発展させ、AFRWに落とし込んでいきたい」と展望する。

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    掲載日: 2019年1月10日 | presented by 建設通信新聞

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