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初の技術評定取得/清水建設 基礎杭長診断法「コンピタ」
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【杭頭打撃で高精度に推定/弾性波伝播速度を解析】
清水建設は、地中に打設された基礎杭の頭部を打撃するだけで、杭の全長を正確に推定できる杭長診断法「コンピタ」を開発し、日本建築センターから杭長診断法として初の技術評定を取得した。衝撃弾性波試験を利用する従来の杭長診断法を改良したもので、周辺地盤が杭体を伝播する衝撃弾性波の速度に及ぼす影響も考慮して、杭長を推定できることが特徴だ。
近年、市街地などの建替工事で、新設建物の基礎杭として既存杭を再利用するニーズが高まっている。既存杭を再利用するためには、地中に埋設された杭の全長を推定し、先端が支持層に到達していることを確認する必要がある。杭長の推定には、これまで衝撃弾性波試験が利用されている。
この手法は、杭頭から打撃波が杭の先端で反射して再び杭頭に戻ってくる時間を測定し、先端反射波の伝達時間と、診断者が設定した杭体の弾性波伝播速度を掛け合わせて杭長を算定する。しかし、算定用の弾性波伝播速度に経験値を採用する場合が多く、推定結果と実際の長さに乖離(かいり)が生じる懸念があった。
一方、杭長の推定精度を高めるためには、周辺地盤が杭体の弾性波伝播速度に与える影響も考慮する必要がある。杭体を伝播する弾性波の速度は、地盤の影響を受ける地中では低下する傾向があり、同社が実施した比較試験では、空気中の計測値より最大1割程度遅くなることが確認されている。
こうした背景のもと、同社は杭長診断の精度向上を目的に、杭体の弾性波伝播速度を露出させた杭頭部で実測した上で、周辺地盤の物性を反映した数値解析により地中での弾性波伝播速度を求め、杭長推定に利用するコンピタを開発した。
周辺地盤の物性は、表層から支持層に至る各地層の土質に応じて設定し、杭径の5倍以上の平面領域を対象に解析用の3次元有限要素モデルを構築する。この解析モデルを使って、実測した弾性波伝播速度が地中でどのように変化するかを解析し、杭長の推定に反映させる。
コンピタの診断対象は杭長50m以下の基礎杭で、プラスマイナス1m以内の精度で杭長を推定できる。また、場所打ちコンクリート杭だけでなく、場所打ち鋼管コンクリート杭にも適用可能だ。
残り50%掲載日: 2019年1月15日 | presented by 建設通信新聞