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クローズアップ・リアル建設/「新3K」実践、20-30代が6割
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【学歴不問、初任給27.4万円から】
技能者主体の土木施工会社、リアル建設(東京都世田谷区、前澤正利社長)は、300人近くいる社員の6割を20-30代の若手が占める元気な会社だ。将来の担い手確保は業界共通の重要課題となって久しいが、同社の何が若者を引きつけているのか。そこには給与・休暇・希望の「新3K」の実践があった。 学歴不問、初任給27万4000円以上--。技能者集団の同社の社員は、大卒は1割程度でほとんどが中卒か高卒という。大卒初任給の平均を大きく上回る給与水準は“入り口”として非常に魅力的だ。社員はすべて月給制で、賞与・昇給や各種手当て、社会保険など、一般的な処遇や福利厚生は当然完備している。
その分激務かというと、もちろん土曜日出勤もあるものの、基本的には週休2日制(年間休日105日)で、道路占有・開放などを伴う仕事柄、残業もほとんどないという。
なぜこのような処遇が可能なのか。秘密はメインの水道工事における高収益体質だ。単体の年間売上高が約45億円の同社は、ガス工事や一般土木工事で下請けもやるが、全体の6割を売り上げる水道工事は元請け。同社は自社作業員の施工班を30以上持ち、さらには現場監督や誘導員、ダンプ、重機なども自前で抱えている。元請けの案件では、下請けに工事を出すことなく、自社ですべてを完成させられるわけだ。直営施工の強みが高い利益を生み、給与への分配につながっている。
売り上げ拡大に伴い採用を増やす同社だが、決して急がず、腰を据えた新入社員教育を施している。実態を知り、一定の知識と技能を身に着けさせて現場に送り出すことで、想像と現実のギャップをなくして離職防止を図るとともに、施工品質を確保する。
技能工社員を4月、8月、12月の年3回に分けて採用している同社は、2018年4月に「リアル建設職業訓練学校」を設立。社会人としてのマナーから工事の座学、実技を3カ月かけてじっくりと教え込み、工具や建機などに関する8つの資格も取得してもらう。新入社員の中には異業種からの転職者も少なくないが、「初めは本当に3カ月も研修をしてくれるのか不安だったが、そのとおりの教育をしてくれるので安心」(現在訓練中の3期生)との声が上がる。研修期間中も満額の初任給を支払うほか、成績優秀者には最大3万円まで月給のベースアップを行う。
訓練学校の野家正行事務局長は「OJT(職場内訓練)と称して、わずかな研修を経て現場に出すようなことはしない」と断言する。現在は川崎市の拠点を中心に、横浜市とさいたま市の屋外施設も使いながら、「一般土木コース」の訓練を実施。9月ごろをめどに、東京都の認定職業訓練学校となるべく審査も受けている。認定されれば土木の民間企業では初になるという。
今後建築分野への参入を検討しており、訓練学校にも左官、塗装を始め、型枠、板金、内装、足場などのコースを順次新設していく方針。拡充に伴い、地域活性化にも貢献する廃校活用を視野に入れる。
ベトナム人の受け入れも5年目に入った。3月には現地の自社研修センターを卒業した技能実習生10人が来日し、ステップアップした建設就労者も含めて計50人体制となる。外国人も日本人の新入社員とともに充実した研修を受ける。
同社は、おおまかな年齢や役職に応じたキャリアパスも社員に明示。例えば35歳班長で推定年収650万円、40歳育成班長(管理職)で750万円、45歳指導教官で900万円、50歳役員で1300万円以上といった具合だ。これより若くして昇格している社員も実際におり、若手のモチベーションにつながっている。
残り50%掲載日: 2019年1月21日 | presented by 建設通信新聞