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2019年業界を読む・道路舗装(9)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【安定基盤の構築へ力確保/継続して利益出せる体制築く】
2018年は国土強靱化の流れや20年に迫った夏季東京五輪などもあり、道路舗装業界の市況はおおむね堅調に推移した。一方で、原油価格の高騰が各社の業績に大きく影響し、期首予想を下回る状態で推移している企業もあるほか、計画は達成しつつあるものの「厳しい環境」と昨年を振り返るトップも少なくない。
そうした中、安定的な収益基盤の構築に向けた動きも各所で進む。その1つが人口の多い都市部での営業強化だ。
ガイアートの山本健司社長は「首都圏の強化は長期を見据えた売り上げ確保のキーポイント」と位置付け、首都圏の売上高を全体の30%まで引き上げる姿勢だ。世紀東急工業は関東や東北に比して西日本、中でも都市部に多い空白地域の解消を課題として、「着実に将来を見据えて取り組んでいきたい」(佐藤俊昭社長)としている。日本道路も都市部における製造販売事業の強化を課題に挙げる。地方と都市部の比率が6対4となっている現状を久松博三社長は「将来的に都市集中が進むと不利になる」と予測し、都市部の増強を進めるため拠点見直しや更新を推進する。
国内だけでなく、海外も見据えた事業展開も進んでいる。大成ロテックは4月をめどにベトナム・ハノイでの現地法人設立を目指している。西田義則社長は「環境問題があるベトナムに日本のアスファルト・コンクリートのリサイクル技術を提供することで貢献したい」と力を込める。タイとベトナムに拠点を置く鹿島道路の吉弘英光社長は「いまは力をつける時だ。素晴らしい仕事をして、鹿島道路ファンを増やすことで継続した仕事を確保し、確実に利益を出せる施工体制を築いていく」と展望する。
また、官民比率シフトに向けた取り組みもみられる。東亜道路工業は官民比率を5対5とすることを目標に民間受注の強化を進めており、森下協一社長は「18年はスポーツ施設や私立学校の大規模改修グラウンド工事など、民間の大型工事を順調に取ることができた」と語る。一方で、民間工事を強みとする前田道路の今枝良三社長は「官庁工事受注増に向けた改革を行っていく。営業部門と施工部門、技術部門の連携を強化して情報を共有し、案件ごとにタイムリーな対応を進める」と意欲を見せる。
担い手確保も大きな課題だ。NIPPOの吉川芳和社長は「建設業、特に舗装土木は、前向きではないイメージを抱かれているので、積極的に学校などに働き掛け、環境改善ややりがいを伝える必要がある」と語る。三井住建道路では新入社員からの「入社に向けた最終的な判断材料としている」との意見を参考にホームページのリニューアルを実施。松井隆幸社長は「学生の目を引き寄せるよう、企業の魅力をアピールできる形に改めた」としている。
重要性が増すインフラの維持管理・更新分野に備えた技術開発も積極的に行われている。佐藤渡辺は今後見込まれる大型新設工事の減少を前提に「社有技術を市場ニーズに合わせたものに変える必要がある。機械の小型化や定番商品の小口化・低価格化、景観技術の開発を進めていくことで実績を増やしたい」(石井直孝社長)とする。大林道路の福本勝司社長は「新設から維持管理に変化する市場環境に対応した技術の開発に取り組みたい」と方針を示し、東大の社会連携講座との共同研究「4Dモデルによる安全管理の推進」、立命館大に研究委託している舗装の損傷の予兆の調査など大学との共同開発を積極的に推し進めている。
(上山裕隆、おわり)
残り50%掲載日: 2019年1月28日 | presented by 建設通信新聞