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インフラ点検に人工衛星を活用/JAXA/測量・コンサル 関心高く/NETIS登録後に代理店募集
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、人工衛星を活用したインフラ点検技術の利用方針を固めた。港湾や空港、堤防での観測精度や解析ツールの性能を確認できたことから、現在、新技術情報提供システム(NETIS)への登録手続きを進めており、登録完了後、ライセンス契約を結ぶ企業(代理店)の募集を開始する。海外市場の取り込みや作業の効率化による人手不足の解消などに建設コンサルタントや調査・測量会社は高い関心を寄せている。
インフラ点検技術は、人工衛星「だいち2号」(ALOS-2)に搭載された合成開口レーダー(SAR)により衛星から地表面の距離変化を観測・解析することで、沈下や隆起などの変状を抽出する。昼夜や天候、植生に関係なく、国内、海外問わずインフラや地表面を観測できる。
JAXAはコンサルタントや調査・測量会社からのニーズを踏まえ、SARを利用したことがないユーザーでも容易に変動量を解析できるツールを開発。条件によるが、おおむね3-5時間で解析することができる。
利用のスキームはライセンス契約を結んだ企業(代理店)にJAXAが衛星データの自動解析ツールを提供。代理店はツールを点検や測量に利用して、調査業務などを実施し、売上額の12%を実施料としてJAXAに支払う。代理店はほかの建設コンサルタントや測量業者に有償でツールを提供することも可能だ。
代理店になることができるのは、干渉SAR解析技術の実績がある企業。JAXAはNETIS登録の完了後、代理店募集を開始する予定だ。
代理店や利用者となる建設コンサル、調査・測量会社は、現場作業の効率化に新技術の活用を想定している。例えば、全国で7万3000㎞に及ぶ河川堤防はそのすべてを年2回ずつ点検しているが、一括スクリーニングで事前に変状個所を抽出しておくことで、点検作業の大幅な効率化が可能だ。
堤防の変位解析の実証などにJAXAと共同で取り組んできた日本工営は、衛星画像は地球上すべて取得できることから、海外市場の取り込みも見込む。国内においても鉄道など民間のインフラ管理者に積極提案していきたい考え。
国も新技術の導入に前向きだ。2017年3月に制定された第4期国土交通省技術基本計画では、メンテナンス技術の向上とメンテナンス産業の競争力強化において、「衛星SAR等の先端的技術適用性を、インフラでの実証等により検証し、現場への導入を促進すること」としている。
また、経済産業省の「政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備に関する検討会」の報告書では、衛星SARによる広域変化・インフラ異常の広域把握と政府衛星データの無償化により、30年ごろの年間インフラ点検費5000億円のうち、5.6%に当たる277億円の削減効果があるとしている。
GPS(全地球測位システム)を利用したカーナビゲーション・システムのように、人工衛星を活用したインフラ点検技術の普及・浸透に高い期待が寄せられている。
残り50%掲載日: 2019年1月28日 | presented by 建設通信新聞