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  • プロジェクト・アイ/国道45号有家川橋上部工工事/施工は三井住友建設JV

     VR(仮想現実)ゴーグルを装着し、コントローラーを握った手を動かす男性-。一見テレビゲームをしているような光景だが、これは三井住友建設らが取り組むVRを活用した橋梁の出来形計測の様子だ。三井住友建設・昭和コンクリート工業JVが施工する「国道45号有家川橋上部工工事」(岩手県洋野町、発注・国土交通省東北地方整備局)では、橋梁の出来形計測に3次元(3D)スキャナーを使うことで作業負担の軽減に取り組んでいる。

     

     有家川橋は三陸沿岸道路のうち、洋野階上道路(侍浜~階上)を構成する道路の一部。洋野階上道路は青森県階上町と岩手県久慈市を結ぶ約23キロの自動車専用道路で、開通すれば所要時間の短縮により、災害時に救援物資の輸送拠点となる三沢空港と久慈市間や救急医療施設へのアクセスが高まるといった効果が期待されている。

     

     「国道45号有家川橋上部工工事」では有家川橋と4~6号の各こ道の計4橋を施工する。コンクリート構造物の施工に当たっては、形状寸法を正確に計測し管理することが求められる。従来の計測方法では施工管理者が2人1組になってスケールで採寸し記録している。記録後は、さらに各出来形寸法を写真撮影したり、出来形計測の書類を作成したりする必要があり、作業負担が課題になっていた。

     

     同工事は国交省の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」の対象に採択されており、3Dレーザースキャナーで橋梁の点群データを取得し、取得したデータを基に出来形計測することで作業負担の軽減を図っている。この技術を導入することで、出来形検査業務の生産性は約2倍に向上したという。

     

     3Dレーザースキャナーを使った出来形計測システム「SMCスマートメジャー」では、3Dレーザースキャナーで計測した3D点群データから橋梁の断面形状を自動抽出し、指定した箇所の出来形寸法を自動計測する。計測データから出来形計測の書類も自動作成される。寸法測定精度は誤差5ミリ程度と、従来の方法で人がメジャーを使って測定した場合と同じレベルで測定できる。

     

     レーザースキャナーでの計測は1カ所当たり7分程度で完了する。レーザースキャナーを任意の位置に設置した後は、計測が完了するまで他の作業ができるため、これまで測定に割いていた人員の分だけ生産性が向上。三井住友建設の試算では、構造物1断面当たりの計測にかかっていた施工管理者の延べ拘束時間が、45分から25分にほぼ半減したという。

     

     クラウドサーバーによるデータ管理によって、発注者を含む全ての関係者で情報を共有できるため、建設生産プロセスの生産性向上に大きく寄与すると期待されている。VRを使って点群データで作り上げた映像の中に入り込むことも可能だ。現場から離れた場所にいても、現場にいるかのような感覚で寸法を測ることができる。

     

     同社を含む3社のコンソーシアムで共同開発した。三井住友建設が代表企業となり、エリジオン(浜松市中区、矢野裕司社長)が取得した3Dデータの分析、ヤマイチテクノ(大阪市西区、山脇雅則代表取締役)がレーザースキャナーを使った3Dデータの計測を担当している。2月19日に開かれた東北整備局主催の現場見学会には、自治体関係者や地元建設業者ら約30人が参加し、VRを活用した出来形計測などを体験した。

     

     システムを視察した東北整備局の上坂克巳副局長は「3DとVRを組み合わせることで現場外から出来形を認識できれば、現場の生産性は飛躍的に向上するだろう。将来の可能性を秘めた技術だ」と取り組みを評価。「システムの汎用性を高め、広く供用されるようにするには官民連携で取り組むことが重要だ」と今後を展望した。

     

    【工事概要】

    □工事名=国道45号有家川橋上部工工事

    □発注者=国土交通省東北地方整備局

    □施工者=三井住友建設・昭和コンクリート工業JV

    □工事内容=有家川橋(PC3径間連続ラーメン箱桁橋307m)のPC箱桁製作、架設工、橋梁付属物工ほか

    □工事場所=岩手県洋野町

    □工期=2017年11月1日~19年12月20日

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    掲載日: 2019年3月7日 | presented by 日刊建設工業新聞

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