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  • 連載・BIM未来図/長谷工コーポレーション(2)

    【CADからBIMへかじ切り/施工図組み入れ「統合図」に】

     

     長谷工コーポレーションが標準BIMソフト『Revit』のアドオンツール「H-CueB」を構造計画研究所と共同開発したのは2017年10月のことだ。BIMの導入を推し進める中で「データの重さ」「データ精度の確保」「生産効率の低下」という課題が浮き彫りになり、それらを解消する手立てとして、モデルデータ構築に伴う作業をより簡単に進められるよう、自動化ツールなどをシステムに組み込んだ。

     

     堀井規男設計部門エンジニアリング事業部統括室長は「CADからBIMへの転換には、われわれのワークフローに沿ったシステムの最適化が必要だった」と振り返る。BIMの作業手間は導入から3年が経過してもCADの時と比べて2倍もあった。モデルデータの属性情報を使い、的確に部材などが配置できるようにシステムを改善し、遠回りせずダイレクトに作業が行えるようになった。

     

     特に設計段階の生産性向上には自動配置ツールが大きく寄与している。例えばマンション住戸内に照明を配置する際、機器情報を基に適正な高さや角度に自動配置される。新屋宏政エンジニアリング事業部BIM推進室室長は「わが社に規格設計が根付いているからこその成せる技だ」と強調する。

     

     同社は生産性と品質の向上を目的に、工業化・標準化に徹底してこだわってきた。住戸内は水回り、ドア、家具に至るまですべての製品情報をメーカーとタイアップして厳密に把握しているため、実施設計時には製品情報を基にした自動配置の設計が可能になる。中野達也BIM推進室チーフは「マンションプランでは高さ条件など設計の細かな約束事も多く、オペレーターが戸惑う場面もあるだけに、自動配置の効果は大きい」と手応えを口にする。

     

     操作時にワークフローの流れに沿って作業を進められるようシステムのインターフェースを変えたほか、BIMモデルや図面のステータスを可視化する仕掛けも採用した。従来であれば複雑な操作になる面倒な部分は自動処理により、より簡単な作業性となった上、作業の可視化を重視したことで管理者も一目で状況を把握できるようになった。

     

     H-CueBの導入に合わせて取り組んできたワークフローの最適化では、施工図の扱いにも切り込んだ。これまで施工図は設計図書を下敷きに描いていたが、BIMワークフローの流れを追求する中で、設計図書の段階から施工図レベルの情報を入れ込む流れが色濃くなり、「そもそも図面作成時に設計と施工を区分けする必要はない」(堀井氏)との認識で一致した。

     

     BIM導入をスタートさせた当初は、BIMモデルから設計図書や施工図を出力することに注力していた。原英文建設部門建設BIM推進部部長は「図面出力ではなく、あくまでもモデルをしっかりと描き、その情報を施工に生かすことを前提にBIMを導入する方針に切り替えたことが大きかった」と振り返る。

     

     図面出力から生産性向上にかじを切ったのは17年。モデル優先を突き詰めた結果、設計図面に施工図を組み入れた 『統合図』にもたどり着いた。 専門工事会社からも3次元モデルデータでの共有を求める声が少なからずあり、「図面にこだわる必要はない」(原氏)と確信し、18年夏から統合図への移行を始めた。

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    掲載日: 2019年3月8日 | presented by 建設通信新聞

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