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プロジェクト・アイ/四国横断自動車道旭野工事(徳島市)/施工は竹中土木
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>竹中土木が、徳島市で施工している「四国横断自動車道旭野工事」に、建設現場の生産性向上策i-Constructionを導入している。盛り土量が約90万立方メートルに達する大規模土工現場であり、ICT(情報通信技術)建機の活用によって生産性向上を図っている。i-Constructionのモデル現場に位置付けており、実務を通じて若手職員らのレベルアップにもつなげている。
同工事は西日本高速道路四国支社が発注した。四国横断自動車道は、産業・観光振興や災害に強い広域ネットワークの形成を目的に、同社と国土交通省四国地方整備局が整備している。発生懸念が高まる南海トラフ巨大地震による津波などで、大規模災害時に既存の道路ネットワークが寸断する恐れがある中で、地域住民らを守る「命の道」となる。
竹中土木が施工する道路は、四国横断道のうち徳島ジャンクション(JCT)~徳島東インターチェンジ(IC)区間の一部を構成する。工事場所は川内町旭野。施工延長は約1・9キロ。主要工事数量はICT活用土工による盛り土工約90万立方メートルのほか、ボックスカルバート9基、橋梁下部工3基、用排水工、深層混合処理、浅層混合処理、補強盛り土工などとなっている。工期は2020年4月17日まで。
現場には、バケット容量0・8立方メートルのマシンガイタンス(MG)バックホウのほか、マシンコントロール(MC)ブルドーザーや転圧回数の管理システムを導入した振動ローラーを配備。これらをセットで投入し、施工の効率化につなげている。MCブルドーザーでは、衛星利用測位システム(GPS)を活用して、排土板の座標や地盤高などを確認しながら施工を推進。完成設計データのほかに、撒き出し用の勾配を記したデータも作成して活用することで、施工精度の向上に生かしている。
MGバックホウは、操縦席に据え付けたタブレット画面に、設計上の切り土・盛り土位置が表示され、バケットの位置との誤差が分かるようになっている。熟練度が浅いオペレーターでも、のり面整形が可能で、丁張りが不要なこともメリットだ。振動ローラーでは、施工箇所ごとの転圧回数が色分けで表示されるため転圧不足などが防げる。
MG重機の稼働状況は、現場事務所のパソコンでリアルタイムに確認できる。作業の進捗(しんちょく)や残工事に関する情報共有、効率的な作業指示に役立てている。来年初めころから最盛期に入ると見ており、その際にはICT建機を2セット投入する。現場を率いる竹中土木の長谷和幸所長は、「i-Constructionによる効率化が目に見えて分かるようになると期待している」と話す。
i-Construction導入は、発注者側も効果を注目している。竹中土木は、同じく西日本高速道路四国支社から受注して昨年12月に完成させた「四国横断自動車道沖洲工事」で、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を用いた独自の取り組みとして、3次元(3D)データによる盛り土管理を提案し、試験的に実施した。出来形や数量、盛り土の土質、品質管理状況などを管理する上での有効性が確認できたという。
竹中土木は発注者の期待に応えようと、前回工事でCIMを手掛けた長野秀二監理技術者を、今回の工事でも監理技術者として配置している。若手技術者の育成にもつなげていく考えで、長谷所長は「現場職員をローテーションさせながら、ICT施工技術を習得させていく」との方針を示す。ICT施工を担当する北野嘉乙氏は、「安全と品質を第一に考えながら、生産性向上を実現させたい」と意欲を見せる。
i-Constructionの取り組みを広く知ってもらおうと、現場近接地にインフォメーションセンターと詰め所を設置している。インターネットカメラによる現場映像を公開し、建設現場が大きく変革しようとしている様子を地域住民らにも積極的にPRしていく。
□南海トラフ地震の津波避難所にも□
西日本高速道路四国支社と竹中土木は、大津波の発生が懸念される南海トラフ巨大地震への備えとして、施工中の現場を有効活用してもらう方針だ。圧密沈下を進めるため、最北部の近接箇所は、現時点で標高13・5メートルの高さとなっている。これを津波の仮避難場所として位置付け、周辺住民に周知した。
設けられたのは築山状の盛り土で、天端部分は22メートル四方の広場になっている。スロープ状の斜路のほか、駆け上がることができるよう昇降階段も整備。避難者が数日間滞在することを想定して、非常食(カンパン)200缶や飲料水200本、仮設トイレ、雨がっぱ、手回し式充電式ラジオ、懐中電灯などを備えた防災倉庫を設置した。ソーラー発電システムも備えた。
拡声器や投光機を備えた緊急時対応車も、地域貢献に活用していく。普段は、安全や品質管理に関する巡回指導に利用しているが、気象庁から津波警報が発令された際には、地域住民に避難を呼び掛ける。救急箱や自動体外式除細動器(AED)、担架なども搭載している。西日本高速道路四国支社と竹中土木は、地域住民らが安全かつ迅速に避難できるようできる限りの支援をしていく。
残り50%掲載日: 2019年3月13日 | presented by 日刊建設工業新聞