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連載・展望 令和 新次代下/注目は福岡 天神ビッグバンが始動/地元業界へ波及効果大/5Gで技術開発躍進
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>政府の施策や公共投資だけでなく、民間投資の中期的な展望も建設会社各社が働き方改革や生産性向上に向けた技術開発などを進める後押しとなっている。
東京周辺の首都圏では、再開発計画が相次いでおり、不安視された2020年夏季東京五輪後も投資減速が発生する気配はなく、むしろ五輪後に後ろ倒ししていたプロジェクトが動き始め、さらなる盛り上がりを見せる可能性もある。だが、首都圏だけの盛り上がりでは全国の建設会社の魅力向上を推進するエンジンとは言い難い。
その意味で民間建設投資の中心が“西”に移動する契機として25年大阪・関西万博に期待する声は高い。中堅ゼネコンや地場建築専業会社は景気の盛り上がりに期待を寄せつつも、「パビリオンの建設を当社が請け負える訳ではない。公共交通網の整備も大型土木で、当社に大きな影響はなさそう」という状況で、ホテル需要が市内でどれだけ具体化するかがかぎを握る。
大阪よりも、大手ゼネコンや地元建設会社、建築用建材メーカーなど建築業界がこぞって注目するのが「博多」だ。福岡市では、天神駅から半径約500mの範囲で、航空法に基づく高さ制限の緩和などによって24年までに民間ビル30棟の連鎖的建て替えを誘導する『天神ビッグバン』が動き出しており、初弾の「(仮称)天神ビジネスセンター」は1月に起工した。市の試算で延べ床面積が約1.7倍、建設投資効果が2900億円というビッグプロジェクトは、全国区のゼネコンだけでなく、地元建設業界への波及効果も大きい。
首都圏以外の都市圏でも中期的な民間建築投資の拡大が進み、地方部は政府の国土強靱化のための公共投資が支える構図ができれば、働き方改革や生産性向上など一定の投資が伴う取り組みを進めるための“舞台”が整う。
働き方改革を進める上で、不可欠となるのが生産性の向上に向けた技術開発だ。各社がICT技術の開発を進める中で、19年は大きな転換期になる可能性がある。それが5G(第5世代移動通信システム)のサービス開始だ。総務省が4月に大手通信キャリア4社に5Gの免許を交付。年内には各社がこぞってプレサービスの開始に踏み切る見込みだ。
5Gの特長は、4G(LTE)の100倍の高速通信と、1000倍の大容量、接続先が多くても遅延が起きにくい同時多数接続の3点だ。大容量の設計モデルのやり取りや複雑な機械操作など通信速度の問題で難しかった動作を容易に実行できるようになる。
BIM/CIMの3Dモデルの施工現場での活用や、センサーなどを使った施工管理、ICT建機による自動施工など、これまで建設業界が開発を進めてきた技術の現場展開が一気に加速するほか、従来とは全く異なるアイデアによる施工現場の変革につながる可能性も秘めている。
5Gは、全国大手ゼネコンだけの話題ではない。総務省は地域や産業分野別のニーズに応じて個別に構築する「ローカル5G」もあわせて進める。同省は「無線やネットワーク技術の専門的知識を持たない利用者や企業に潜在的ニーズがある」とみており、地方中小企業にもデジタルトランスフォーメーションの波が押し寄せることになる。
全国的に建設投資が盛り上がるからこそ、技術開発と現場での実装を進め、その果実である生産性向上の恩恵として働き方改革と技能者の処遇改善が進められる。日本建設業連合会の山内隆司会長が語った「社会構造の変化に耐えうる建設業の確固たる礎」を実現できるかは、繁忙期における現場の“チャレンジ精神”にかかっていると言える。
(秋山寿徳、竹本啓吾)
残り50%掲載日: 2019年5月8日 | presented by 建設通信新聞