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連載・BIM未来図/元年から10年 日本ERI×竹中工務店(1)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【建築確認への道筋描く/案件特性に合わせ「挑戦」】
建築確認申請へのBIM活用が広がりつつある。図面整合などを厳密に審査する確認検査業務では以前からBIMの有効性が検討されてきた。申請者(設計者)からのニーズが高まり、審査側と連携しながら実プロジェクトへの活用に挑戦する動きに発展している。現在はまだ明確なスキームが固まっていないだけに、先行事例からは将来への道筋が見え隠れする。日本ERIと竹中工務店の取り組みを追った。
「社として真正面からBIMに向き合い、活用の道筋を描きたい」と、日本ERIの関戸有里BIM推進センター長が力を込めるように、同社は建築確認におけるBIM活用の有効性を意識し、2015年から検討を進めてきた。申請者側からのニーズも高まり、17年にはBIM推進センターを発足させ、現在は兼務者を含め18人体制にまで拡大した。
竹中工務店も建築確認におけるBIM普及への思いは同じだ。東京本店では既にBIMを活用した確認申請が5件目、大阪本店も既に1件を適用、年内までに3件ほどの候補を挙げている。他の支店でも動きがあり、社を挙げて建築確認へのBIM活用に乗り出している。野口元設計本部設計企画部副部長申請担当が「プロジェクト特性に合わせ、さまざまなチャレンジを行い、BIM活用の裾野を広げていきたい」と語るように、両社が連携した建築プロジェクトは建築確認申請の新たな扉を開く挑戦となった。
東京本店では、RC造4階建て延べ2135㎡のリバーホールディングス本社新築計画(東京都墨田区)で、クラウドを使ってBIMデータを申請・共有するとともに消防同意にも活用した。東京都内の非住宅における消防同意の電子申請は初の試みでもある。
大阪本店では、RC・S造地下1階地上8階建て延べ9144㎡の武庫川女子大学新公江記念館建設工事で、複数のBIMソフトのモデルデータを標準フォーマットのICFデータ化して申請した。それを専用チェックツールによって審査する仕組みは国内初の事例。申請者と審査側が事前に協議し、建築確認のプロセスを共有しながら取り組んだ。
戸建て住宅の4号建物では、建築確認の電子申請事例はあるが、延べ床規模が大きくデータ量が膨大になる非住宅の事例は全国的にもごくわずか。しかも2次元データではなく、図面データに属性情報を含んだBIMデータの申請や共有の方法はまだ確立されていないのが現状だ。「BIMソフトの種類もデータ共有の仕方も複数あるだけに、着実に検証を繰り返すことでより良い方向性が見えてくるはず」と、関戸センター長は先を見据えている。
日本国内でBIMに脚光が当たった2009年の“BIM元年”から、ことしが10年の節目になる。生産性向上の手段として設計者や施工者がBIM活用に乗り出す中で、設計と施工の間に入る建築確認へのBIM適用は、一気通貫のデータ共有という点でも欠くことのできないテーマであることは言うまでもない。
残り50%掲載日: 2019年5月20日 | presented by 建設通信新聞