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  • 建設論評・労働力の課題

     外国人労働者の受け入れを拡大する新たな制度が4月1日から始まっている。建設業における外国人労働者数もここ数年増加の一途をたどり、厚生労働省の「外国人雇用状況の届け出状況」によれば、2018年10月末現在では6万8000人を超えており、今後も一層増加し続けることが予想される。

     

     特定の職種に不足する労働力の偏りが外国人労働者のニーズを生み出しているといってよい。つまり日本人が敬遠しがちな職場で外国人に働いてもらうという構図である。さらに今後、急速な人口減少が予想される事態が不安をあおるのかもしれない。

     

     未来志向で考えてみると違った景色が見えてくる。外国人労働者の人数はさらに増加し続けて、定住や移民のニーズが高まることになるだろう。日本人の人口減少は歯止めがかからず、日本は多民族国家に向かっていく。だがそれは決して悪いことではない。小さな島国の日本が国際的な競争力を維持するためには、避けて通れない道なのかもしれない。そのような環境の中で、安全で安心して暮らせる国をつくっていくことこそが大切なのである。

     

     現在の外国人労働者の受け入れはその第一歩ではあるが、安価な労働力や日本人が避ける労働環境の職種を海外に期待するのは、一時しのぎに過ぎない。

     

     当面の対策として外国人労働者に頼るのはやむを得ないとしても、目指すところは職場そのものの魅力を増やし、働きやすい、あるいは働きがいのある職場をつくっていくことである。企業の競争力は価格競争や品質の追求や開発力だけではなく、労働力を確保することがさらに重要になる。

     

     施工技術は急速に発展して安全性や労働環境は格段に良くなってきている。自動ロボットやロボットスーツなど最新技術の導入も今後さらに進んでいくだろう。それでも厳しい作業に携わる人にはそれなりの対価を設定することが求められる。魅力ある職場にするためのインセンティブやアイデアこそが大切であり、それは日本人や外国人を問わない課題である。

     

     社会へのアピールも大切である。社会の基盤である建築や街、インフラの整備を建設業界が担っているのは間違いのない事実である。情報技術を駆使して現場をリアルタイムで発信するのもよい。建設における高度な技術力や情報技術を駆使した現場管理の現状をアピールするのもよい。昔の建設現場のイメージが社会にまだ残っているのなら、払拭(ふっしょく)しなければならない。

     

     女性の積極的な活用も課題である。例えば、一定規模以上の現場には保育所の設置を義務付けるのはどうだろう。夫婦子連れで現場に行って、子どもを預けて仕事に励み、また一緒に帰ってくる。

     

     既成概念を払拭した新たな現場づくりで、企業イメージを高めることができる。誇りをもって働ける職場環境をつくっていくことが、今後の大きな競争力となるのである。 (泰)

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    掲載日: 2019年5月23日 | presented by 建設通信新聞

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