当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 連載・BIM未来図/元年から10年 日本ERI×竹中工務店(4)

    【根拠出すビューアの必要性/問われるオートチェック対応】

     

     「電子申請ではPDFをどうやり取りするかがポイントになる」。そう感じているのは竹中工務店東京本店設計部設計第2部門の花岡郁哉設計4グループ長だ。建築確認にBIMを活用するといっても、承認についてはBIMの中で行われてはいない。実際にはBIMから図面などのデータをPDFにアウトプットして審査しているのが実態だ。

     

     日本ERIの関戸有里BIM推進センター長は「申請者の竹中工務店からBIMモデルで承認してほしいという要望はあったが、現行建築基準法では2次元で審査しないといけない枠組みになっている」と現状を説明する。例えば座標を利用した求積図審査では面積の算定方法を、確認審査の明示すべき事項として位置付ける必要があるように、現時点でBIMモデルだけでの審査はできない。

     

     国内外の専門家の間では「オートコードチェック」の研究も進んでいるが、図面解釈の違いもあり、すぐには一般化が難しく、現行法の整理も求められる。花岡グループ長は「その場合には数字の根拠を持たせる必要があり、例えばオートコードチェックのアルゴリズムを開発し、それに適合するテンプレートが整備されれば、自動判定の道筋は出てくる」と先を見据える。

     

     現行法で定められる明示すべき事項の枠組みを考えた場合、データのままでは根拠とならず、それを可視化するなどの切り口が必要なだけに、BIM活用の糸口はある。関戸センター長は「モデルの上に2次元図面が載るような見せ方の仕掛けがあれば」と、BIMビューア機能の進化にも期待をのぞかせる。複数の確認検査機関でBIMの有効性を議論する検討組織では2019年度からビューアのあり方検討もスタートしており、建築確認のBIM対応に向けた動きは一気に加速している。

     

     建築確認の視点に立った場合、設計者側のモデリングスキルがまだ追いついていない現状も課題の1つになりそうだ。日本ERIが大阪のトライアルプロジェクトで属性情報一覧表を使い、建築確認に必要な属性の目安を示したのも、竹中工務店側のBIMスキルが整っていたことが大きい。牛瀧康之大阪支店確認部部長が「今後関西でもBIM申請のニーズが高まるだろうが、3次元の外枠だけ描いたような中途半端なBIMでは成立はできない」と強調するように、申請者と審査側双方のBIMスキル向上が普及の大前提になる。

     

     19年は“BIM元年”から10年の節目。BIM活用の建築確認事例もより大規模化している。関戸センター長は「現在はまだやり方が確立されていない状況だけに、今回のように竹中工務店と連携しながらBIM活用の可能性を追求できたことは将来への大きな一歩になった」と実感している。

     

     建築設計事務所は大手を中心にBIMワークフローを確立し、ゼネコンは設計から施工まで一気通貫のBIMに乗り出している。設計と施工のつなぎ目となる建築確認は一貫したデータ連携という点でも今後のBIMの進展を左右する主要テーマの1つ。元年から10年の節目に、建築確認のBIMスタンダードに向けた挑戦がより熱を帯びてきた。 (おわり・西原一仁)

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年5月23日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事