当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 日建連意見交換会総括 下・改革へ前進あるのみ/先進事例波及で全体底上げ/スパイラルアップの動き

     改正労働基準法の施行や建設キャリアアップシステムの本格運用、特定技能外国人の受け入れなど、建設産業界が大きな転換期に差し掛かる中、各地区の意見交換会では、働き方改革を後押しする独自の施策展開を打ち出す整備局も目立った。

     

     皮切りとなった5月9日の関東地区では、石原康弘関東地方整備局長が、日建連の「労務費見積り尊重宣言」に対し、「発注者としてもぜひ協力していきたい」とし、宣言に基づいた取り組みを実施する企業へのインセンティブ(優遇措置)を検討する考えを示した。

     

     折り返し点となった四国地区では、建設キャリアアップシステムの利用促進に向け、整備局が2019年度から独自に日建連と連携してシステム導入済みの現場を「稼働促進モデル工事」に指定し、技能者カードの保有を加速化させると表明した。

     

     日建連は、先進的な地方整備局などの取り組みを波及させ、全体の底上げを図ることに主眼を置いてことしの意見交換会に臨んだ。「トップランナー方式からボトムアップの時期に来ている」。ある日建連幹部はこう語る。

     

     各地区の意見交換会では、先進事例の取り込みによるボトムアップに意欲を見せる整備局長も少なくなかった。会員調査に基づくデータを提示し、各発注者の取り組みの濃淡を意識させることで切磋琢磨(せっさたくま)を促す日建連の参考資料も発注者のやる気を引き出す重要なツールとして機能した。

     

     関西地区では黒川純一良近畿地方整備局長が「ほかの整備局ができて近畿でできないことはない。『良いとこどり』をしていきたい」と働き方改革を後押しする施策展開に意欲を見せた。中部地区でも勢田昌功中部地方整備局長が、他整備局の優良施策の取り込みに前向きに対応する姿勢を見せた。

     

     北陸地区では吉岡幹夫北陸地方整備局長が、「いずれにしても良い横並びをしていくということだと思っている。引き続き、さまざまな提案をいただきながら全体としての底上げを図っていきたい」と意気込んだ。

     

     日建連の要望に対する発注者側のレスポンスも年を追うごとに良好になっている。意見交換会後、間髪を入れずに整備局長自らが具体的な対応の検討を指示するケースもあった。

     

     10日に新潟市内のホテルで開かれた総括会見で、日建連の清水琢三副会長・土木本部長代行は、「先進的な例を取り上げてわれわれの要望を組み立てた。各地方整備局で前向きに対応していただいているが、良い意味での競争のようなものになっている」とし、さらなる相乗効果による改革の前進に期待を寄せた。

     

     竹中康一理事・土木本部副本部長は「受発注者間の理解が最も重要だという発言も局長からあった。08年から意見交換会に出席しているが、当時は言いっぱなし、受けっぱなしという状況だった。いまはわれわれの取り組みを理解していただき、より先に進んでいただいている」と、大きな進化に確かな手応えを口にした。

     

     各地区では整備局長から、「建設業界が将来にわたって持続し、発展するために柔軟な発想の下で時間を費やすべき。進化があっても後退がない意見交換会にしたい」「未来の光ある業界を皆さんと一緒につくりあげていきたい」など、改革の実行に強い決意を込めた発言が相次いだ。改革をさらに前に推し進めるスパイラルアップの動きは着実に広がり始めている。

     (岡部敦己)

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年6月13日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事