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目立つ入札辞退/低入調査を辞退の動きも/原因は予定価格?
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>公共工事などの入札で、入札参加者が辞退するケースが目立っている。一部の参加者が辞退しても、複数者が残っていれば入札は継続され落札者が決まることが多い。しかし中にはすべての参加者が辞退し、整備スケジュールの遅れが懸念される事業もある。辞退に至る背景はさまざまだが、「予定価格の低さ」を指摘する声は依然として多い。一方、札入れ後に発注者から要請を受けた低入札価格調査を辞退する動きもある。
◆不落随契も難航
東京都葛飾区が5月中旬に開札予定だった「葛飾区立東金町小学校建築工事」は、参加申請した3JVすべてが辞退した。RC造4階建て延べ8407㎡の校舎棟などを整備する工事で、事前公表した予定価格は26億2380万8000円(消費税10%込み)。入札方式は施工能力審査型総合評価一般競争入札で、3者それぞれの辞退理由は明らかになっていない。当初は2021年4月から新校舎を利用する予定だったが、スケジュールの遅れが懸念されている。
すべての応札者が予定価格を超えたケースなどでは、いわゆる「不落随契」として、最も価格が低かった第1交渉権者と随意契約に向けて価格交渉する枠組みがある。日本赤十字社は、2者が入札参加したものの不落となった「武蔵野赤十字病院施設整備事業」で、随契に向けた交渉を進めていた。しかし、「事業予算と見積金額に開きがあった」として、最終的には契約交渉を中止した。
指名競争入札での辞退も、もはや珍しくなくなった。鉄道建設・運輸施設整備支援機構東京支社による「相鉄・東急直通線、羽沢変電所新築」では、指名47社のうち46社が辞退した。その後、2回目の入札で落札者が決まった。落札率は99.7%だった。
◆新庁舎でも苦戦
目玉プロジェクトであるはずの新庁舎の建設工事も例外ではない。熊本県大津町はことし1月、大津町新庁舎建設工事の一般競争入札を公告したが、1者のみの応募や辞退などが相次ぎ、6月に入って再々公告した。入札参加資格や工期を見直し、あわせて予定価格も引き上げている。施工者選定の入札で苦労した新庁舎は全国に数多い。
積算システムの高度化が進み、官民双方で積算精度は飛躍的に高まっている。しかし、予定価格とのギャップから入札が成立しない案件があるのも事実だ。予定価格は、労務・資機材価格の変動を定期的に反映させて算出している。ただ、完全なリアルタイムではなく、需給動向などを踏まえた価格変動予想をあらかじめ織り込むことも難しい。契約後にはインフレスライド条項など、事後的に価格変動に対応する仕組みがある。
入札の辞退に加えて、発注者から要請を受けた低入札価格調査を辞退する動きもある。東京都の入札では、基準価格を下回った応札者が、低入札調査の調査票提出やヒアリングなどを辞退するケースがある。低入札調査の辞退は、土木、建築、設備などさまざまな工事でみられる。
残り50%掲載日: 2019年6月18日 | presented by 建設通信新聞