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耐火被覆吹付ロボを開発/自律走行で梁全周を自動作業/大林組
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【2020年度に建築現場実適用】
大林組は、耐火被覆工事の吹き付け作業を自動で実施できるロボットを開発した。BIMデータと座標をもとに自律走行して梁の下フランジ・ウェブ・上フランジのすべてを自動で吹き付けるため、吹き付け作業をロボットに置き換えられる。今後は、適用可能範囲の拡大や課題の抽出などを進め、2020年度中に建築現場に実適用する。
S造の建築物では、火災による鉄骨への損傷を防止するため、鉄骨表面にロックウールなどで耐火被覆処理を施す。ロックウールとセメントスラリーを吹き付けノズル先端部で混合しながら吹き付ける「半乾式吹付ロックウール工法」を採用されることが多いものの、ロックウールが大量に飛散するため、夏場でも作業場所を区画割りして技能者が防護服を着用する必要があり、大きな負担となっていた。このため、技能者の確保も難しく、技能者不足が後工程の仕上工程の遅延にもつながりかねない状況となっている。
開発したロボットは、走行装置、昇降装置、横行装置、産業用ロボットアームで構成する。BIMモデルを使って専用シミュレーター上で作成した吹付作業ファイルと平面図上の座標をもとに作成した走行ルートを組み合わせた作業データを登録するだけで、現場内を自走して半日か1日の単位での長時間作業でも指示に従って移動・吹き付けを繰り返す。半乾式ロックウール吹付工法では、吹付・コテ押さえ・材料投入のそれぞれを担当する建設技能者3人を1班として作業するため、ロボットを導入すれば、コテ押さえと材料投入の2人だけとなる。ロボットの重量は、2.3tで2.5t以上の工事用エレベーターにも積載可能。
階高5m、梁せい1.5mまでの梁部材の吹き付けに対応可能で、H形の鉄骨梁でも下フランジ・ウェブ・上フランジのすべての部位に自動で吹き付けられる。吹き付ける対象部材が柱の場合、床面から1.5m以上であれば対応できる。
1カ所の最大吹付幅は、横行装置で梁の材軸方向にロボットアームをスライドさせることで約3.8mまで対応可能で、技能者が高所作業台で吹き付けられる約2mのおよそ2倍の作業範囲を実現した。S造で一般的な柱の間隔である7.2m程度の場合、梁の表側と裏側を吹き付けると従来工法では6-8回の移動が必要だったものの、4回の移動で吹き付けを完了できる。
実験では、技能者の1日当たりの吹付面積(2時間耐火仕様、吹付厚45mm)が150㎡程度だったのに対し、ロボットでは200㎡程度の吹き付けが可能で、作業効率が約3割向上した。
吹付ノズルには、新たに専用の粉じん飛散防止ノズルを開発。吐出したロックウールをミスト状の水で包み込むことで飛散量を7割削減できる。ロボットには、周辺に侵入した人間を感知して減速・停止するセンサーを設置しており、ミストノズルによる作業環境改善によって作業区画内でも正常に反応する。
残り50%掲載日: 2019年6月28日 | presented by 建設通信新聞