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話題縦横・改正品確法/国交省 基本方針、運用指針で方向性
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【内容具体化に向け手続きスタート】
ことしの通常国会で成立した改正公共工事品質確保促進法(品確法)が施行され、改正法の内容の具体化に向けた手続きがスタートした。国土交通省は各公共機関が取り組むべき事項などを定めた「基本方針」と発注関係事務の共通ルール「運用指針」の改正の方向性などを作成し、関係省庁や自治体、業界団体などに対する意見照会を始めた。改正法の柱である「災害時の緊急対応の強化充実」「働き方改革への対応」「生産性向上への取り組み」「調査・設計の品質確保」に加えて、現行の基本方針や運用指針に記載している内容の改善も含めて幅広く意見を求め、現場の実態に即した運用が可能となるような内容に改める。
基本方針は発注者の立場だけでなく、産業行政の視点なども含めて、法律の意義や施策の進め方などを明文化したもの。政府が作ることになっており、改定には閣議決定が必要になる。
基本方針改正の方向性案の具体的な構成内容を見ると、公共工事の品質確保の推進の意義に「請負代金および適正な工期を定める公正な請負契約締結」を記載。適正工期の考え方を意義に位置づけ明確化する方針だ。
予定価格の適正な設定に関しては、新たに社会保険・労災補償、工期を的確に反映した積算や、災害発生時の見積書徴集、労務費・法定福利費の支払いの実態把握を盛り込んだ。
公共工事の受注者には、下請けなどに対する市場における労務の取引価格、保険料などを的確に反映した請負代金および適正な工期を反映した請負契約の締結を責務として課す。情報通信技術の活用を通じた生産性の向上、新技術や新工法などの導入とそれらの企業への普及・活用支援も求める。
調査・設計が品確法の対象となることが改正法に明記されたことを受け、調査・設計の品質確保に関する事項も記載を充実している。
基本方針は協議の上で内容の修正を進め、9-10月に開催する関係省庁連絡会議で改正案を作成。改正案を基に、今秋の閣議決定を目指す。
運用指針の改正骨子案では、新たに「業務」について独立した章を設けた。これまでのように工事に準じて適用するのではなく、独自のルールとして設定する。具体的には、「工事」「測量、調査および設計業務」のそれぞれの章を設けて、▽発注準備▽入札契約▽工事施工(業務履行)▽工事完成(業務完了)▽その他--の各段階の留意点などを整理している。
そのほか、主な改正点をみていくと、「工事」の章では働き方改革への対応を受けて、適正な工期設定や計画的な発注・施工時期の平準化、工事中の施工状況の確認などを記載。ICT技術の活用を含めた最新の積算基準の適用や3次元データなどの積極的な活用、関係者間での情報共有システムの推進といった生産性向上への取り組みも盛り込んでいる。
「測量、調査および設計業務」の章では、業務の性格に応じた技術提案の評価内容の設定を明記した。「工事」の章と同様に、計画的な発注や履行時期の平準化、電子納品のオンライン化の積極推進、データ連係基盤の構築といった働き方改革、生産性向上への対応も示している。
「発注体制の強化等」の章では、発注関係事務を行う職員の育成・確保と、発注関係事務に関し助言などを適切に行う能力を有する者の活用促進について明記した。
法改正で新たに加えられた災害時の緊急対応の強化充実にも対応。「工事」「測量、調査および設計業務」のそれぞれについて、▽災害時における入札契約方式の選定(随意契約・指名競争入札)▽実態を踏まえた積算の導入▽一括審査方式の活用▽事業促進PPPの活用--などの項目を新規追加した。
「多様な入札契約方式の選択・活用」の章では、ワークライフバランス等推進企業の評価項目の設定やISO9001を活用した品質管理に関する記述を追加。設計段階から施工者が関与するECI(施工予定技術者事前協議)方式についても新たに記載している。
運用指針の改定に向けた今後のスケジュールは、9月13日まで、各地方整備局からブロック内の都道府県や政令市、市区町村、建設業団体に改正骨子案に対する意見の提出を求める。建設業団体のうち、全国団体は本省から直接、意見提出を要請している。
意見聴取の結果を踏まえて、運用指針の本文案を作成。本文案は発注者協議会のブロック会議や県部会で説明するとともに、改正骨子案と同様、自治体や建設業団体から意見聴取する。学識経験者などの有識者にも意見照会した上で、年内をめどに運用指針を策定。2020年度から運用指針に基づく発注事務の運用を開始する。
残り50%掲載日: 2019年8月22日 | presented by 建設通信新聞