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  • 試験制度見直しで悪影響/教育内容の偏りなど懸念/建築学会大会(北陸)士法改正調査

     日本建築学会と全国建築系大学教育連絡協議会(全建教、ともに竹脇出会長)は4日、石川県野々市市の金沢工業大などで開かれている学会大会(北陸)のパネルディスカッションで=写真、全国の大学を対象に実施した改正建築士法に関するアンケートの途中集計結果を報告した。受験要件に実務経験が課されないことに対しては、「少しでも若いうちに受験できるほうが良い」といった好意的な意見が一部あったものの、多くは悪影響があると回答した。悪影響とする回答では、「資格取得を第一主義とする者が増加し、資格予備校化しかねない」「教育内容が1級建築士の試験対策に偏る可能性がある」など大学教育への影響を懸念する意見が寄せられている。

     

     アンケートは、改正法の施行に伴う関係省令・告示改正案のパブリックコメントが7月から8月にかけて実施されたことを踏まえて行った。報告では24校の回答をまとめている。

     

     改正法では、優れた人材の継続・安定的確保を目的に、実務経験を受験資格要件から登録要件に見直しており、実質的に学部卒業直後での受験が可能になる。手続きが順調に進めば2020年3月1日から施行される。

     

     受験機会の早期化についてはアンケートでも歓迎する意見があった一方、「人材確保という直近の課題だけを見て近視眼的に制度が改善されることについては大変な危惧(きぐ)を感じる」といった声も多い。

     

     パネルディスカッションでは、「建築士資格と建築教育-改正建築士法施行後の時代の建築教育を展望する」をテーマに産学官のパネリストが議論した。冒頭、竹脇会長は、今回の法改正に対して「戦後一番大きな改革だと思っている」とした上で、「国際通用性も含めた中長期的視点から将来像を構想することで、次代の建築教育の方向性を展望する機会としたい」とあいさつした。

     

     討議には国土交通省住宅局建築指導課の田伏翔一課長補佐、田辺新一早大教授、日建設計の山梨知彦氏、全建教運営委員会の小林正美委員長が参加し、全建教建築士資格制度検討小委員会の田中友章委員長が進行役を務めた。

     

     今後の教育のあり方について田辺教授は「若者が入ってくるとBIMなどに適応できる。建築士にどのくらいの展望を振り向けるのかという長期プランが必要ではないか」と指摘した。

     

     山梨氏は「建築実務の領域は非常に広がっている。1級建築士は設備、構造、意匠に分かれているが、それだけではカテゴリーが足りないという考えも必要だと思う」との見解を示した。

     

     次世代の育成については、小林委員長が「若者はこういう世界で活躍してほしいというメッセージを出して、そのための資格という打ち出しが必要だと思う」と学会の役割に期待を込めた。

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    掲載日: 2019年9月5日 | presented by 建設通信新聞

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