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連載・BIM未来図/元年から10年/大和ハウス工業(2)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【設計に抵抗感なくなり自覚/研修センターはフル稼働】
「今後を見定める上でも、いまが正念場だ」と、大和ハウス工業の芳中勝清技術本部BIM推進部部長は焦点を絞り込む。2020年度に設計段階、22年度に施工段階の完全BIM化を目指す同社は、社を挙げた改革に取り組むが、一気通貫BIMの実現には設計段階が生命線になる。「まずは設計の完全BIM化をしっかりとクリアしなければ、その先の果実を得ることはできない」と見通す。
先導役のBIM推進部は18年4月の発足から増員を図り、現在は総勢55人の体制にまで拡大した。全国8地区に推進委員会を置き、連携しながら事業所ごとに普及活動を展開中。誰もが効率的にBIMソフト『Revit』を使いこなせるようにテンプレート、ファミリ、モデリングガイドラインなどを整備したほか、BIMスキルアップの教育にも力を注ぐ。現時点で全体の3分の2に当たる約1500人の教育を終えた。BIM標準推進1グループの宮内尊彰グループ長は「着実に階段を上っている」と手応えを口にする。
意匠、構造、設備、見積もり、工事の5分野それぞれでBIMスキルアップの教育内容を定めるとともに、責任者、主任層、一般職など役職ごとにも習熟度目標を設定した。東京と大阪に設けたBIM教育のための研修センターはフル稼働の状態だ。「まだ悩みを抱える事業所はあるものの、前向きな意識が組織の推進力になっている」と続ける。
意匠設計部門は、これまで基本設計では従来の2次元設計を進め、実施設計から3次元を取り入れてきたが、10月からは基本・実施設計ともに3次元に切り替える。BIM標準推進1グループの吉川明良主任は「既に意匠担当の抵抗感はなくなり、使いこなしたいという前向きさが出てきた」と着実に広がりをみせている。
構造設計や設備設計も同様だ。両部門とも一通りの教育を終えた。BIM標準推進1グループで構造設計部門を担当する市川翔太氏は「BIMを学び、その意味を知ったことで、構造部門の意識は大きく変わった」と実感している。設備設計部門を担う金本雅二BIM推進部主任は「これからはより早い段階から設備設計がかかわる枠組みになるだけに、担当者には一気通貫の目線が備わってきた」と強調する。
東京と大阪に置くBIMのトレーニングセンターでは、全国の事業所でスキル格差が生じる懸念を打開するため、“弱点教育”にも力を注いでいる。18年度下期には95事業所中69事業所がBIMを手掛けたものの、意匠・構造・設備のモデルすべてがそろっていないケースがあった。設計担当全員が一定のスキルを持たなければ、組織力は発揮できない。完全BIM化の実現に教育が欠かせないことは言うまでもない。
特に設計部門はフロントローディングによって、以前より業務の密度が高まる。従来の設計工期内に成果を出さなければ、プロジェクト全体のリードタイムは上がってしまう。芳中氏は「フロントローディングの精度がBIMの生命線になるだけに、設計部門の成長が完全BIM化のかぎを握る」と力を込める。
残り50%掲載日: 2019年9月10日 | presented by 建設通信新聞