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  • 期待と冷ややかな視線交錯/改正品確法で建築設計事務所アンケート 本社調べ

    【自治体の体制整備がカギ】

     

     新・担い手3法のうち、改正品確法(公共工事品質確保促進法)で、公共工事に関する調査・設計の品質確保が基本理念と発注者・受注者の責務として明確化されたことに対して、建築設計業界では期待と冷ややかな見方が交錯している。日刊建設通信新聞社が全国の建築設計事務所を対象に実施したアンケートでは、「適正な価格による工事、設計発注に期待する」といった声が上がる一方、法の趣旨の浸透、実効性の担保に向けては「法整備と合わせて発注者責任を果たすことができる仕組みの実現が不可欠」など、特に市区町村レベルでの体制整備がかぎを握るという意見が目立った。

     アンケートは6-7月に109社を対象に実施し、品確法関連の質問に対しては37社から回答があった。

     

     改正品確法では公共工事の品質確保を図る上で、調査・設計が重要な役割を果たしていることから、「公共工事に関する測量、地質調査その他の調査(点検及び診断を含む)及び設計」が、基本理念と発注者・受注者の責務の各規定に追加された。

     

     改正法での明確な位置付けに対しては、「設計にも品確法の目が向けられたことは一歩前進」「改正により、設計等業務費の適正な利潤の確保への効果を期待している」といった声が上がっている。

     

     一方で、「目指すところは理解できるが現実的には、あまり期待はない」など冷ややかな視線を向ける建築設計事務所も少なくない。「国土交通省は調査・設計業務でも公共工事と同様、ダンピング対策の強化に努めると言っているが、地方自治体まで行き渡っていない」「都道府県、政令市を除く地方自治体の対応の徹底が望まれる」など、特に市区町村レベルでの適切な対応を求める意見が目立つ。

     

    ■意識改革を訴え

     

     ある設計事務所は「特定の自治体は極端に安い設計料や短い工期で発注する。法改正によって担当者の考えが変わることを期待する」と、自治体職員の意識改革を訴える。

     

     改正法に基づく取り組みの実効性を疑問視する背景には地方自治体の不十分な体制がある。回答の中には、「技術者が十分にいない自治体では、これまで利潤を確保できる予算立てや適正な工期設定などに庁内で対応できないことが多く、品確法対応には専門家による現実的な予算、工期の設定が必要」など、力量不足を指摘する意見もあった。 

     

    ■技術者確保が不可欠

     

     また、「3法が目指す方向性の実現に当たっては、発注者側の予算の適切な確保や、適正な工期の確保などさまざまな問題を判断できる技術者の確保が不可欠だが、現実的には人員削減などにより逆の方向に進んでいる。簡単に改善されることはない」という厳しい見方もある。

     

     品確法の改正は調査・設計の品質確保、働き方改革、生産性向上への対応などにより、インフラの品質確保とその担い手の中長期的な育成・確保を目的にしている。改正法に基づく取り組みの実効性を担保するためには、自治体の人材不足解消や職員の意識改革など、発注者責任を果たすことができる仕組みの実現が求められている。

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    掲載日: 2019年9月17日 | presented by 建設通信新聞

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