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  • 最先端の技術駆使し工期大幅に短縮/新区界トンネルが貫通/施工=鹿島・東急建設JV/品質管理・安全対策も徹底/最前線

     東北地方整備局が整備を進めている宮古盛岡横断道路「区界道路」の主要構造物で、岩手県内最長の道路トンネルとなる「新区界トンネル」(仮称)が2014年11月の掘削着手から約3年で貫通を迎えた。施工を担当しているのは鹿島・東急建設JV(西川幸一所長)。予期せぬ異常変状などに見舞われながらも「1日も早い完成を目指す」を合言葉に、最先端の技術・工法を駆使し、大幅な工期短縮を実現した。 トンネル掘削工事は、現地の状況に応じて両押しまたは片押しで進められることが一般的で切羽は1-2カ所だが、本工事では宮古側からの第1切羽、盛岡側からの第2切羽のほかに、避難坑から作業坑を掘って第3・第4切羽を設け、計4切羽で同時に掘削を進めた。掘削パターンの工夫に加え、4ブームフルオートコンピュータージャンボを投入し、削孔作業の省力化と作業時間の短縮、余掘りの低減とともに、作業員の熟練度に頼らない作業を実現した。

     

     さらにホイールローダーやダンプなど建機の大型化、鹿島が開発した2ノズル吹付機の使用など、迅速な施工に向け考え得る技術・工法を惜しみなく投入した。

     

     取り組みは“速さ”だけではない。現地が積雪寒冷地のため、吹付コンクリートには通常より強度が出やすく、かつ低粉じんの吹付工法でもあるクリアショット工法を採用。寒冷期には骨材置き場に熱電線を入れて凍結を防止しているほか、コンクリートを練るため専門の資格を持った専属オペレーターを配置している。

     

     覆工コンクリートに関しては、養生時間を通常の3倍以上の66時間確保できる鹿島の特許技術のツインアーチ工法を採用し、表層の緻密性を向上させているほか、対凍害性コンクリート試行工事となっていることを受けて、国土交通省と岩手大学の羽原研究室、岩手県生コンクリート工業組合と共同で新たな対凍害性コンクリートを開発するなど、品質管理にも万全を期している。

     

     一方、ぜい弱化した蛇紋岩や粘盤岩の断層破砕帯などにより異常変状や掘削面押し出しなどが一部で発生したため、高強度の吹付コンクリートを使用するとともにリング構造の二重支保工として地山を抑えた。

     

     さらに“日本一明るいトンネル現場”を目指して、坑内の照明にメタルハライドランプを採用し、安全性と作業性の向上を図っているほか、肌落ちなどを防止するため専任の切羽監視員を配置するなど、工期短縮と品質・安全確保のための創意工夫の数々は、枚挙に暇がないほどだ。

     

     18年1月11日に地域待望の貫通式が開かれるが、工事は引き続きインバート工、覆工コンクリート、排水対策などが行われる。西川所長は「とにかく事故を起こさないこと。排水もきれいな水にして川に返すなど、環境にも十分留意しながら、1日でも早く完成させたい」と気を引き締めている。

     

     新区界トンネルの概要は、本坑4998m、避難坑は5045m。内空断面積は95㎡。掘削はNATM。工事場所は宮古市区界~盛岡市簗川地内。

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    掲載日: 2017年12月27日 | presented by 建設通信新聞

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