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  • 計画段階から技術的検討/土木学会特別小委 難条件克服へ調達方式提言/判断力備えた人材育成

     土木学会の「技術の調達方式検討特別小委員会」(木下誠也委員長)は24日、東京都新宿区の土木学会講堂で小委員会報告書『技術の調達の現状と課題』の公表・成果報告会を開いた=写真。官民の発注者がこれまで経験したことのないような難工事に対し、技術的な条件の克服を含めた調達方式のあり方を検討し提言した。既存の調達の枠組みは、急速に進む技術革新の技術的難題解決への活用を妨げるとともに、形式的競争にも問題が波及しつつある。新たな調達体制の構築が円滑な事業推進に寄与することが期待される。

     同報告書は、既に発注された技術的に難易度の高い工事の計画から調達、実際の施工に至るまでの過程での問題を、発注者・施工者双方の立場で整理している。国、自治体、民間事業者、海外などの事例とともに、発注者とコンサルタント、施工者それぞれに対するアンケートや聞き取り調査結果をデータとして盛り込んでいるのが最大の特徴だ。

     

     発注者の技術的課題は、トンネルやダム、リニューアル事業などにかかる構想・計画、設計、工事調達・施工の各段階とも経済性、実地条件下の技術の適用性で共通している。また、構想・計画、設計では技術の成立性、工事調達・施工には工程が加わる。

     

     課題解決にはDB(設計施工一括)やECI(施工予定技術者事前協議)などの工事発注方式のほか、コンサルタント業務を通じた方針決定、第三者への相談などで対応しているが、発注者と学識経験者、設計者、施工者が一体となって技術的な事業実現性、施工技術の比較検討、新技術の評価・活用を検討する体制は整っていない。

     

     これらの現状を踏まえ、発注者と設計者、施工者が調査・計画段階から共同で技術的課題を検討する事業方式を確立することを提案している。具体的にはアライアンス契約、設計者と施工者の共同によるF/S(事業可能性調査)などの新たな事業方式、ECI、CM方式の積極活用を例示している。

     

     また、事業上流段階での技術的課題の抽出、適切な調達方式の設定、施工技術の比較検討、新技術の評価・活用の観点から、施工技術にも精通した技術力と技術的判断力を兼ね備えた建設コンサルタント技術者の育成が不可欠と結論付けている。

     

     会合で、木下委員長は「技術の対話、結集が難しい時代で、どうやって難工事に対応していくかは発注者だけでなく、受注者にとっても課題になっている」と指摘。その上で報告書の作成を通じ、「難易度の高い工事発注の解決策が一定程度明確化されたと思っている」と述べた。

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    掲載日: 2019年9月25日 | presented by 建設通信新聞

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