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  • 2018本社元旦号(19)

    【乗り越えろ 7つの課題-(3)生産性向上、直面する中小元請けと下請け-】

     

     建設産業は、住宅・社会資本の整備・維持管理とともに、地域では経済・雇用を支え、防災・減災、老朽化対策、耐震化、インフラメンテナンスなど「地域の守り手」として重要な役割を担っている。一方、少子高齢社会に起因する労働力人口の減少に伴う担い手の確保が大きな課題となっており、地域建設業でも生産性向上を推進する機運が高まりつつある。◆地場・中小建設業/広域ネットワークで生産性向上推進

     

    ◇ドローン活用で協力体制構築 

     

     地方中小建設企業の多くは、新たな取り組みに挑戦しようとしても、自社の力だけでは思うように進められないのが現状だ。そうした中、中小建設企業同士が連携し、持てるノウハウを中心に経営資源を共有する広域ネットワークを形成することで、こうした状況を打開する動きが出てきた。

     

     その1つが、「やんちゃな土木ネットワーク(YDN)」の幹事会社連携体(静岡県)による、空撮と3次元測量、新素材を活用した土木施工の生産性向上をテーマにした取り組みだ。「元気な生コンネットワーク(GNN)」の事務局から運営上のアドバイスを得て、YDNの会員企業を募集。マルチコプター(ドローン)による空撮測量と3次元測量技術の確立や、新資材であるGPPの普及、加盟会社相互間の業務の繁閑調整に取り組んでいる。また、GNNの大会や勉強会を利用したYDNのプレゼンテーションや加盟の勧誘、YDN、GNNと土木の魅力を発信する民間プロジェクト「みんなのどぼく」の3者による協力体制の確立にも取り組み、高校生を対象にした現場見学会も実施した。

     

     その結果、空撮測量と3次元測量の技術を施工計画や安全管理に活用する将来的な見通しが立ち、普及を図る確かな手応えを感じている。

     

     このほかにも、ドローンによる省力化の事例がある。切盛土量の算定もその1つ。写真測量を行うことで、広範囲な造成現場の現状測量を実施し、切盛土量を迅速に精度良く算定できる。ドローンとデジタルカメラを使った道路用地造成工事の現場測量や土工事の進捗管理、ドローンと3Dスキャナーを使った土工事の進捗管理などの先行事例もある。

     

    ◇全体最適の建築生産システムを研究  

     

     労働力・後継者不足が深刻の度を増していく中、共通の問題意識を持つ地域建設企業が結集し、大所高所から客観的に問題を分析し、解決を図る動きもある。

     

     地域建設業新未来研究会(東京都)が、取り組む、全国の地域建設業における全体最適の建築生産システムの研究もその1つ。委員20社で研究会を設立、課題解決のツールとしてTOC(制約条件の理論)を導入し、ボトルネックの抽出、先行事例の視察などを行った上で、下部組織としてワーキンググループを設置。▽多発している施工段階での設計変更の改善▽維持管理とメンテナンスへの対応▽BIM、CIM、情報化施工による建設現場の生産性の向上--をテーマに改善策を模索し、それぞれ課題の抽出、ボトルネックの明確化、事例の共有を図っている。

     

    ◇地中埋設管の探知でMC付き試掘法開発

     

     北海道内の公共事業で発生する事故のうち、ライフライン切断事故は12%。地中埋設管の切断事故も6%を占めるが、「埋設管が図面どおりに埋設されていない」「物理探査は高価である」などの理由で対策があまり進んでいない。埋設管工事で事故を起こさず、効率的に作業を行うことができる工法が求められている。北海道土木技術開発連携会(北海道)は、地中埋設管の探知に有効なマイクロセンサー(MC)付きの試掘法の開発に取り組んだ。その結果、掘削機の実用化に一定のめどをつけた。これが完成すれば、省力化と工期短縮の可能性が大きく高まる。

     

    ◇スマホ情報提供システムを構築

     

     既存の顧客から、住宅部品の不具合についての連絡や修理・維持修繕の依頼などを受け、対応のため営業担当者が現場に出向くケースが多く、コストの増加、業務効率の低下を招いている。スマホ情報提供システム構築プロジェクトチーム(静岡県)が取り組んだ、スマートフォンを活用した業務フローの改善による生産性向上を図るプロジェクトでは、浜松市の「土木スマホ通報システム」の仕組みなどを参考に、協力会社と連携して、顧客からの情報提供、それに対する返答と見積もりがスムーズに行えるシステムの開発を進めた。土木スマホ通報システムの開発企業の協力も得て、見積もり依頼者から提供される画像と、GPS機能による位置情報を利用して、簡単に見積もり作成までできる「スマホ情報提供システム」を構築。営業担当者が現場へ出向く回数が削減され、顧客から正確な情報が提供されることで、業務フローが大きく改善された。

     

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    掲載日: 2018年1月1日 | presented by 建設通信新聞

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