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台風19号/北條組、フクザワコーポ、大成、鹿島/24時間態勢で奮闘/千曲川の緊急復旧工完了
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>台風19号による豪雨で、長野市穂保地区の堤防が決壊した千曲川で30日、緊急復旧工事が完了した。国土交通省北陸地方整備局は災害協定に基づき、施工を大手と地元の建設会社計4社に要請。決壊個所を盛り土した仮堤防は北條組とフクザワコーポレーション、その前面(川表側)を囲む鋼矢板仮締切堤防は大成建設と鹿島が担当し、24時間態勢で早期復旧を成し遂げた。
千曲川では13日未明、穂保地先の左岸堤防が約70mにわたって決壊し、一帯に大規模な浸水被害が発生した。
北陸整備局は同日午前7時から緊急復旧工事に着手。当初現場は浸水した状態で埋め戻し作業に苦労しながら、地元2社は17日に仮堤防を完成させた。長野県建設業協会も協力した。
並行して準備を進めていた鋼矢板仮締切堤防は、日本建設業連合会北陸支部の協力の下、16日夕方から工事に入った。施工規模は延長約320m、高さ約5.5m。長さ16m、幅40cmの鋼矢板を約1700枚打ち込み、幅5mの鋼矢板間を中詰土で充てんした。途中、石の層が見つかった部分などで鋼矢板の打設に工夫を凝らしつつ施工に当たった。大成建設、鹿島とも、全社を挙げて資材や重機、労務の調達に奔走。全国の協力会社の応援を得ながら“ゼネコンの力”を形にした。
北陸整備局は30日午前9時をもって工事の完了を宣言。仮堤防の構築を含め、18日間で決壊個所の緊急復旧工事を終えた。現地で取材に応じた千曲川河川事務所の吉田俊康副所長は「従前の堤防と同等の機能を確保した」と説明。これを受けて長野市は避難指示を解除した。
吉田副所長は「24時間態勢で施工に当たっていただいた4社とその協力会社の方々に、心から感謝する」と謝意を表した。今後の本復旧については「学識者の意見などを聞きながら工法を検討し、早急に復旧させたい」と述べた。
本堤防の建設に当たっては、今回構築した仮締切堤防などは撤去する見込みだ。
復旧工事に従事した北條組の片山雅彦氏は「めったにない大災害に会社を挙げて対応した。無事故で終えられて安堵(あんど)している」、フクザワコーポレーションの金井聡史氏は「被災された地域の方々のために、少しでも力になれればと思い全力を挙げた」と話した。
大成建設の安田晋雄氏は「本支店が一体となって、全国から資機材や職人を集めた。一日も早く被災された方々に立ち直ってもらいたいという思いで工事に当たった」とコメント。2015年9月に発生した鬼怒川決壊の復旧対応の経験も生きたという。
鹿島の武井昭氏は「とにかくスピードが求められ、1日当たり約150人、隣工区も合わせると約300人が従事した。国民、国土を守るなどと大それたことは言わないが、目標の期間内にしっかりしたものをつくるのが、われわれの使命であると改めて実感した」と語った。
「一番つらい思いをしている地域の方が、工事関係者に励ましの声をかけてくれることもあった。おかげでこちらの気持ちも少しやわらいだ」と武井氏。地域は建設業の力を必要としている。
残り50%掲載日: 2019年10月31日 | presented by 建設通信新聞