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  • 都市のミライ・KK線・既存施設のあり方検討

     東京・日本橋で首都高速道路の地下化に向けたプロジェクトが進む中、銀座エリアを囲むように走る全長2.0㎞の自動車専用道路・東京高速道路(KK線)が、その役割を変えることになるかもしれない。日本橋の地下化に向けた課題である大型車両の交通確保に関連して現在、国などが検討している対策は、実現すれば首都高の八重洲線と環状線を結んでいたKK線の大きな役割が失われることになる。これを受け、東京都は学識経験者らとともに、同線の廃止も視野に将来的な既存施設の活用策の検討を開始した。同線の高架下には銀座ナインやコリドー街などが入居し、銀座のにぎわいを形づくっており、既存施設の活用方策は将来の銀座の姿に大きな影響を与えることになる。【存続か廃止か 方策探る/将来の銀座の姿に大きな影響】

     

     KK線は京橋と蓬莱橋で首都高都心環状線と接続する高速道路。途中、西銀座で首都高八重洲線と接続し、環状線と東西に連絡するなど、都市高速道路網の一環として重要な役割を担っている。

     

     1951年、銀座の復興と飽和していた自動車交通量の緩和を目指し、財界人らが発起人となって会社を設立。銀座周辺の汐留川や京橋川などを埋め立てて日本最初の高架による無料道路を建設した。

     

     高架下には地下1階地上2階建てのビルが入り、建設費や運営費はビルの賃貸料で回収する仕組みで、首都高とは異なり通行料金が発生しない。

     

    ◆大型車両の対応が影響

     

     日本橋の首都高地下化をめぐっては、江戸橋ジャンクションのランプ撤去によって大型車の最短ルートが失われるため、現時点での検討ではKK線を構造強化する案と新たに地下の別線を整備する案が検討されている。

     

     既存の同線は大型車の通行ができないため、構造を強化する場合は、全線の改修が必要となるほか、西銀座付近のカーブ部の接続が困難となり京橋方面への接続が失われる。

     

     別線を整備する場合は、八重洲線の既存トンネルと新設するトンネルが干渉し合い、同線との接続が途切れることになる。いずれの場合でも、八重洲線と環状線との連絡という同線が果たしてきた役割の1つが失われる。

     

    ◆中央区は緑化遊歩道を提案

     

     KK線の高架下のビルに入居するテナントは約160店舗に上る。既存道路の構造強化も、廃止後の高架の撤去も難しい状況だ。

     

     道路としてのあり方については、事実上の首都高の一部となっている点以外にも、バイパスできる無料道路という強みがある。「廃止という決断をした時に、特に銀座・昭和通りへの影響が出るのではないか」と懸念を示す学識者の声もある。

     

     一方、中央区の山本泰人区長は、米国・ニューヨークにある貨物線跡地の都市公園「ハイライン」を例に、廃止した高速道路を活用して緑化した遊歩道として整備する構想を新たに打ち出した。10月の同区と都の意見交換では、構想について小池百合子知事が「車の時代から次の時代を象徴するビジョンを示していただいた。画期的な案だ」と前向きな感想を口にした。

     

    ◆来夏に中間案作成

     

     同線が通過する有楽町方面では、「有楽町駅周辺地区」「八重洲二丁目南地区」などが国家戦略特区の都市再生プロジェクトに追加されている。このほか、八重洲周辺でも「八重洲一丁目6地区」など3件の再開発事業が進んでいる。

     

     KK線のあり方は、沿線や近隣に位置するこれらのプロジェクトとも無関係ではない。20年の五輪後を見据えたまちの姿にも直結することから、来夏の中間案に向けて進める都の今後の議論が注目される。

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    掲載日: 2019年11月19日 | presented by 建設通信新聞

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