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CO2からエチレン生産/熊谷組 微生物反応を利用
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>熊谷組は、CO2を原料に化成品原料であるエチレンを微生物反応によって生産する技術を開発した。エチレンは主に石油や石炭から生産され、生産に伴い大量のCO2を排出するとされている。CO2からエチレンの生産が可能になれば、CO2排出量の大きな削減効果が期待できるとともに、CO2化学という産業分野の創出も期待され、持続可能な低炭素、炭素循環型社会の実現に大きく貢献できるとしている。
地球温暖化対策やSDGs(持続可能な開発目標)の観点から「脱炭素」が世界的な潮流になっており、CO2排出量削減、低炭素、炭素循環型社会実現に寄与し、人工光合成・藻類などとは違う新しいバイオプロセスによるCCU(CO2回収有効利用)技術開発に取り組んだ。具体的には、鉄酸化細菌を利用してCO2を原料に主要化成品原料となるエチレンを生産する技術を開発した。
CO2を炭素源として生育する鉄酸化細菌にエチレン生成酵素遺伝子を導入しCO2利用エチレン生産鉄酸化細菌組み換え株の構築に成功した。高濃度CO2を封入し培養した結果、鉄酸化細菌ではエチレン生産は認められなかったが、CO2利用エチレン生産鉄酸化細菌組み換え株でエチレン生産が認められた。
また、エチレン製造装置として通電型培養装置を製作した。鉄酸化細菌は通電型培養装置を使った電気培養技術(電力中央研究所特許技術)を適用することで、菌体密度を高密度化することができる。さらに、電子供給による還元力の付与によりCO2の変換効率を高めることが可能であると考えられている。
電気培養には大きな電力は不要で、再生可能エネルギーなどCO2フリー電力を利用することが想定される。CO2を原料に使うだけでなく、生産プロセスでもCO2排出量削減効果が期待できる。これら開発技術を基に、CO2有効利用の基盤となる技術として特許「エチレン生産方法およびエチレン製造装置」を出願した。現段階ではエチレンの生産性はまだ低いため、実用化にはその他の既存技術と同様に多くの課題が残っている。そのため効率的なCO2利用エチレン高生産性鉄酸化細菌組み換え株の構築と、通電型培養装置を利用したエチレン生産システムの開発にさらに取り組む予定だ。
残り50%掲載日: 2019年12月2日 | presented by 建設通信新聞