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スコープ/高松空港民営化/20年度にターミナル増築着工へ
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>◇四国瀬戸内ナンバーワン国際空港に
国管理空港のコンセッション(公共施設等運営権)事業では初弾の仙台空港に続き、2018年4月に民営化を果たした高松空港(高松市香南町)。民営化以降、ターミナル改修や立体駐車場の整備のほか、バス路線の増設、観光プロモーションなど、ハード・ソフト両面から空港の利便性や魅力向上に取り組んできた。安心・安全な空港運営に注力しつつ、利用客の増加と地域活性化につながる仕掛けづくりに知恵を絞る。
高松空港は高松市の中心部から南へ約15キロに位置する香南台地にあり、1989年12月に供用開始した。154ヘクタールの敷地に長さ2500メートルの滑走路や同2620メートルの着陸帯、総延長約2・8キロの誘導路、約8・7ヘクタールのエプロンを備える。海抜約185メートルの高台にあることなどから、災害時の輸送拠点空港に指定されている。
スポット数は大型ジェット機用と中型機用が各3カ所、小型機用も18カ所備える。民営化時点で国内3路線(羽田、成田、沖縄)と国際4路線(ソウル、上海、台北、香港)の計7路線が就航している。
民営化に当たり、代表企業の三菱地所をはじめ、大成建設、パシフィックコンサルタンツらで構成するグループがコンセッション事業を受託。特別目的会社(SPC)の高松空港会社を2017年9月に設立した。同12月に旅客ビルなどの施設運営を開始し、18年4月から着陸料の収受、滑走路の管理なども含めた空港全体での一体運営を行っている。
民営化1年目の18年度の高松空港の利用者数は209万2395人(うち国内線177万0865人、国際線32万1530人)。8年連続で過去最高を記録し、開港以来初めて200万人を突破した。18年10月にソウル線、19年3月には台北線を増便するなど、海外ネットワークの増強に力を入れている。
19年度の旅客数は222万人(うち国内線186万人、国際線36万人)を目標に掲げ、国内・国際線ともに18年度をさらに上回る。高松空港会社の金盛将和常務企画管理部長は「日韓関係の悪化などの影響を受け、19年度の国際便の旅客数については不透明感もあるが、引き続き国際空港として海外や首都圏の航空需要を積極的に取り込んでいきたい」と力を込める。
利用客の受け入れ機能強化に向け、施設整備も順次進める。前倒しで建設を進めてきた3層4段の立体駐車場が大型連休前の今年4月に完成し、空港前駐車場の台数は384台増の1393台に増加。併せて出入り口のゲート増設を行った。6月には送迎車両による周辺道路の混雑緩和を狙い、入庫からの無料時間を従前の30分から60分に拡大した。
駐車場関連の一連の取り組みについて、金盛常務は「ターミナル前面に駐車する車両は見られず、満車で駐車場が利用できないこともなくなり、自家用車などで空港を利用する方々の利便性向上につながっている」と話す。
旅客ターミナルビルの利便性向上策では、民営化直後に国内線の搭乗エリアや待合室の拡張・リニューアルのほか、免税店の拡張を実施。国内線到着ロビーには、空港からの行き先を一望できるインフォメーションマップを設けた。
今年8月には、四国各地の名産・特産品などを集めた空港直営のセレクトショップ「四国空市場(通称YOSORA)」がオープン。食品や雑貨、アートグッズなどを豊富に取りそろえ、ここでしか買えない限定アイテムも置く。
同ビルの付属棟として、新事務所棟が今夏に完成したことにより、従来のオフィススペースをターミナル改修などで活用する。
高松空港の中期計画(18~22年度)やマスタープランでは、将来イメージに「アジア・世界とつながる四国瀬戸内ナンバーワンの国際空港」を掲げる。複数の格安航空会社(LCC)の拠点化を進めながら、32年度には旅客数307万人(うち国内線225万人、国際線82万人)の達成を目指すとしている。
民営化後の15年間の投資総額は機能維持関連が73億円、空港活性化関連が78億円の計151億円を見込む。旅客ターミナルビルの増築では20年度の着工に向け、施設計画の詳細を詰めている。「既存施設の改修も含めてステップを踏んで施設機能を移しながら、増築を段階的に進める」(金盛常務)という。
16日で開港30周年を迎える高松空港。魅力的な施設づくりと合わせ、周辺エリアの活性化に向けた地域との協働体制を強化し、空港と地域の持続的発展に取り組む。
残り50%掲載日: 2019年12月10日 | presented by 日刊建設工業新聞