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清水建設/切羽前方探査システムを改良/無線式で大幅に省力化
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>清水建設は、トンネル掘削作業を中断することなく、切羽前方約80m先までの3次元的な地山状況を予測できる前方探査システム「S-BEAT」を改良し、データ通信方式をこれまでの有線式から無線式に変更した新システムを開発した。新システムにより、データ計測の作業効率が向上するとともに、坑内環境に左右されずに計測ができる。複数のトンネル現場に新システムを試験適用した結果、大幅な省力化・省人化効果を確認した。今後、神奈川県秦野市内で施工中の新東名高速道路高取山トンネル西工事(発注者=NEXCO中日本)に実装する予定だ。
2016年に開発・実用化したS-BEATは、地山を伝播する振動が岩盤性状の変化点で反射する現象を利用し、トンネル内で観測した振動データから地山内の反射面の位置を推定する探査システム。油圧ブレーカーの掘削振動を起振源、トンネル側壁に打ち込まれた複数の既設ロックボルト頭部を受振点とし、受振センサーが検知した振動データを解析することで、トンネル周辺の3次元的な地山性状を推定する。
S-BEATを活用して切羽前方の地山状況を日常的にモニタリングし、詳細調査が必要な劣化部や地質が変化する個所を検知した場合に限り、ボーリング調査を実施することで、掘削工程に与える影響と探査費用を最小限に抑えることができる。
従来システムは、ロックボルト頭部に装着した受振センサーと、振動データを記録するデータロガー、データ解析ソフトを組み込んだパソコンをケーブルで接続し、データ計測を行っていた。このため、システムの設置・撤収に手間と時間がかかり、湧水などの影響で路盤状況が悪い現場では、コネクターの損傷やケーブル配線からのノイズの影響を受ける懸念もあった。
新システムは、受振センサーを無線式の加速度センサーとし、センサーとデータロガー、ロックボルトへの取付治具を一体化した受振ユニットを新たに開発した。この受振ユニットをロックボルト頭部に装着するだけでシステムの設置作業が完了し、データ計測もタブレットを介して行うため、これまで3人が必要だった作業を1人でも行えるようになり、システムの設置から撤収までの時間も従来の約20分から約10分に短縮できる。また、ケーブルのひっかけによる断線・転倒などの懸念がなくなり、湧水からの防護のための養生作業なども不要なため、安全性や現場適用性が格段に向上した。
残り50%掲載日: 2019年12月13日 | presented by 建設通信新聞