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  • 建設業はいまNo.3

    【地場大手 人材確保で守勢/強み持つ分野 どう維持】

     

     建設産業界の働き方改革は、地域の建設業抜きには実現しない。だから実現するには、地域建設業が持つさまざまな力、いわゆる“地域力”存続のための施策展開が必要であることを全国で訴えた、2017年度の全建ブロック会議・地域懇談会。ブロック会議で焦点となった、大型補正や当初予算の安定的確保については結果的に、公共事業関係費は1兆円の大台を確保し、18年度当初予算案も6年連続増額を堅持した。にもかかわらず、地場大手を頂点にした地域建設業界の顔色が晴れないのはなぜか。

     

     例えば、都道府県建設業協会の活動をけん引する地場大手の中でも、上場する中堅ゼネコンの売上額に匹敵する規模を持つ地場大手企業には、地域や地元経済界を代表する企業として振る舞うことが求められている。その代表例が、政府が調整役となって経済界と労働組合が合意した時間外労働の上限規制適用や、政府と国土交通省が後押しする週休2日実現などを柱にした働き方改革だ。

     

     ただ、全国ゼネコンの対応を踏まえ、地場大手が同様の取り組みを展開することには難しさもある。全国ゼネコンの大手・準大手は、例えば適用義務化まで期間に余裕がある時間外労働の上限規制についても、個社それぞれ前倒しで取り組みを開始するが、地方建設業界にその余裕と取り組み機運はいまのところない。

     

     その上、地場大手にとって売り上げ・受注の主戦場は、地域と首都圏の2つ。だから投資余力が全国大手・準大手と比べ少ない地場大手が2つの市場に対し同時に対応することは非常に難しい。

     

     にもかかわらず、全国に点在するこうした地場大手ゼネコンは全国ゼネコンと同様、働き方改革と生産性向上を進める中で、中長期の事業戦略を確立しようとしている。その理由について、地場大手トップは「採用人員は目標数近くを確保できているが、この数年間のエントリー数は3分の1程度まで減少している。県内有力企業だからとあぐらをかいている場合ではない」と人材確保の厳しさを強調。その上で、「受注で強みを持つ分野を今後もどう維持するか。また今後さらに求められる耐震化や長寿命化、メンテナンスやリフォーム市場をどれだけ取り込めるかだ」と断言する。

     

     これまで地場大手は、市町村など狭い地域内の公共工事市場動向に左右されがちな地場中小と違って、県域という広域な地域の中で継続的、安定的に受注する一方、需要が多い首都圏でも売り上げを拡大してきた。これが、地場大手の生産システムを支える地域の協力企業、専門工事業にとって仕事が途切れなく継続してあることの安心感につながり、強固な元・下関係を構築してきた。

     

     しかしこれまでの新設中心の建設市場から、メンテナンス市場の比重がより高まる市場内変化が起きる可能性について、先の地場大手トップは厳しい見方をする。「メンテ市場が有望だと言うが、われわれの市場だと思っていたら、新規参入企業などに奪われてしまう可能性だってある」と懸念を示し、「だから、今後新たな展開を考えざるを得ない」と見据える。

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    掲載日: 2018年1月10日 | presented by 建設通信新聞

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