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阪神・淡路大震災から25年/生かされる災害教訓/高まる建設業の役割/事前防災考える転機/住宅8割が耐震化/団体の連携加速
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>きょう17日で阪神・淡路大震災の発生から25年を迎えた。地震災害としては当時、戦後最大級の被害をもたらし、事前防災や発災後の応急対応などのあり方を考える転機となった。一般住宅の耐震化が法制化され、官民の災害時連携も進展、同震災から得られた教訓は、その後の自然災害に対する備えに生かされている。
阪神・淡路大震災では、死亡した6434人の約9割が建物などの倒壊によるものだった。1981年以前に着工した旧耐震基準の建物に被害が集中し、全壊した住家は約10万5000戸に上る。計画的な耐震改修を促すため、震災を契機に耐震改修促進法が成立、95年に施行された。法改正はこれまでに3回行われている。
同法を所管する国土交通省は、5年ごとに実施される住宅・土地統計調査の結果を基に耐震化率を推計しており、直近のデータは2013年時点で、住宅が約82%、病院や店舗など多数が利用する建築物が約85%。
住宅と、多数が利用する建築物のうち耐震診断が義務化されている建築物(要緊急安全確認大規模建築物、要安全確認計画記載建築物)について、25年に耐震性が不十分な建物をおおむね解消する目標を掲げている。
耐震改修は、建物所有者が耐震化の必要性を認識していても費用負担の大きさから工事に踏み切れないことが課題だ。そのため、国交省は補助制度を整備した地方自治体への間接補助を実施し、費用負担の軽減に取り組んでいる。
国交省のまとめによると、19年10月1日現在、耐震診断は市区町村の87.9%、耐震改修は88.8%が補助制度を整備済み。
国交省は目標達成に向け、避難路の沿道にある耐震診断義務付け対象の戸建住宅で補助限度額を引き上げるなど、20年度予算案で住宅・建築物耐震改修事業を拡充する。
18年度までの時限措置だった要緊急安全確認大規模建築物と要安全確認計画記載建築物に対する補助は、19年度に延長した。これら建築物の耐震改修について、22年度まで設計と工事の費用を支援することにしている。
こうした法制度を含めた建物の耐震改修事業の1つの源流が阪神・淡路大震災にあったと言える。
日本土木工業協会(土工協、現日本建設業連合会)は、発災後に当時の建設大臣(現国土交通相)の要請を受け、建設機械の調達や労働力の確保、資材の調達などに尽力。関西支部を対応窓口とし、兵庫県の対策本部と近畿地方建設局(現近畿地方整備局)、阪神高速道路公団(現阪神高速道路公社)、日本道路公団(現NEXCO)、神戸市、JR西日本が実施する復旧活動などに全面的かつ積極的に協力した。
この対応をきっかけに、行政機関と建設業関係団体間の連携体制が強化される。
土工協東北支部は96年5月に東北地方建設局(現東北地方整備局)と災害協定を締結した。地方支部と地方建設局との災害協定締結は初めてで、2007年2月には東北6県と仙台市を加えた協定へと拡充、11年3月に発生した東日本大震災でも官民が有機的に連携して効果を発揮した。
現在では日建連のすべての支部で地方整備局などと災害協定を締結している。一部の支部は自治体や高速道路会社、電力会社とも協定を結んでいる。
全国建設業協会は1996年5月にまとめた「全建将来ビジョン」の中で、阪神・淡路大震災の経験を踏まえて総務委員会の下に「災害対策検討会」を新たに設置、大規模災害に対する基本事項の検討を始めた。また、発災時は会員企業による組織的な活動が不可欠なことから、応急復旧への協力体制や機動的かつ具体的な対応などを盛り込んだ「全建災害対応行動指針」を策定した。
こうした動きとともに、全建傘下の47都道府県建設業協会は国交省地方整備局や自治体などと災害協定を締結し、官民の連携体制を構築している。
さらに、各建協間の「相互支援(応援)に関する協定」の締結を進めている。被災していない県の協会が被災地の協会に対して食料や燃料などを提供するほか、資機材や車両の提供、人員の派遣を実施する。1つの建協では対応できないような広域的な大規模災害に備え、人材や資機材の調整・調達に伴う連携体制を強化している。
日建連や全建を始めとする建設関係団体が実施してきた災害対応の結果として、改正品確法(公共工事品質確保促進法)には「災害にかかる建設業団体の責務」が明記され、安心・安全な国民生活を確保する上で建設業が果たす役割は高まっている。
残り50%掲載日: 2020年1月17日 | presented by 建設通信新聞