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  • 連載・2020年業界を読む/建設機械

    【世界的な需要は下降線も/ソリューション合戦の様相】

     

     グローバルな視点で見る需要は既に下降曲線を描いている状況にある。米中の貿易摩擦など不透明な外部環境も相まって、メーカー各社の経営トップも先行きや見通しに慎重な姿勢を崩さない。しかし、国内市場を中心に建設現場におけるデジタル化の波は各社のビジネスにとっては間違いなく追い風。まさにデジタル化を軸にしたソリューション合戦の様相を呈す。

     

    2668建設機械本体の出荷金額の推移
    (日本建設機械工業会の統計データから作成)

     

     「世界的な需要の低迷に対する覚悟が必要になる」「外部環境は依然として不透明な状況が続く」といった声もあるように、2020年における市場動向は決して楽観できない。

     

     実際に近年、好調に推移してきた建設機械の需要は「ほぼ過去のピークに近い」とされる18年をピークに下降曲線をたどっていくことが確実。全体として高い水準を維持したと言える昨年も米国市場や日本市場が堅調に推移する一方、焦点となっている中国市場での減速が見られるなど、その国や地域によって苦戦を強いられるケースもあった。

     

     いわば底堅い需要を堅持する米国市場や日本市場とは対照的に先行きの不透明感が漂う中国市場での苦戦が今後も継続するというのが国内のメーカー各社の大方の見方と言っていい。

     

     この国や地域ごとの“玉石混交”の状況の中で各社が重視しているのは、より多くのシェアを獲得するための「顧客満足度」の向上だろう。

     

     例えば、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を駆使して、建設機械の稼働の状況などを把握。機械の不調や故障を事前に予測することで、顧客の操業を後押しする取り組みは、製品としての機械を“売る”という従来のビジネスモデルから機械を“使う”あるいは“使い続ける”ところまでサポートする業容の拡大と言える。

     

     とりわけ顧客が保有する機械のライフサイクル全体に関与していくことで、市場や景気の動向に左右される新車の販売だけでなく、最適なタイミングでの部品の提供や修理、更新・買い換えまで、自社の製品を使う顧客と“末永く付き合おう”というわけだ。

     

     建設機械の情報(保守管理)を遠隔で確認することができるコマツの「KOMTRAX」や、センシングによって常に機械を見守りながら、故障などの予兆を検知する日立建機の「ConSite」に代表されるように、最先端のデジタル技術を駆使したサービスソリューションはまさに進化を続けている。

     

     コベルコ建機も20年度までを期間とする現行の中期経営計画と並行して、ことしからITに関連する中期計画の始動を予定。納入した機械から吸い上げた情報をベースに、新たなサービスを模索するなど、経営理念である「ユーザー現場主義」の実現に取り組む。

     

     モノからコトへの流れの中で、製品(モノ)だけでなく、顧客満足度を高める各社のソリューション合戦(コトの競争)が始まろうとしている。

     

    (赤間政彦)

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    掲載日: 2020年1月21日 | presented by 建設通信新聞

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