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  • 統治強化と独立性/平行線 両社の思惑/積み残した課題決着へ動く

     「ついに」というべきか、「やはり」というべきか。20日、前田建設のグループ企業である「前田道路に対する株式の公開買い付け」発表、対抗する形で前田道路が公表した「前田建設が保有する前田道路株式の取得及び資本関係解消提案」が相次いだ。

     

     そもそも、土木・建築を中心にした建設事業を請け負うゼネコンにとって、道路舗装工事は関連事業として親和性は高い。だから舗装業界上位企業の多くは、子会社もしくは持分法適用関連会社として上場ゼネコンのグループに属している。その結果、独占禁止法改正によってリーニエンシーや課徴金の大幅引き上げを契機にしたコンプライアンス(法令順守)徹底の流れを受け、ゼネコンを頂点とするグループに属する道路舗装会社は、上場廃止に伴う100%子会社化など大幅な組織変更を余儀なくされた。

     

     こうした流れを決定付けたのは、上場企業に求められたコーポレート・ガバナンス強化、さらなる独禁法改正、親子上場への問題提起だった。

     

     ゼネコンの名称を社名に使う大手の道路舗装会社が、ガバナンス強化などを理由に上場廃止とトップ交代を進める中、前田建設は前田道路との協議に時間をかけた。他のゼネコン系道路会社がゼネコン組織から発展したのに対し、前田道路の出自は前田建設とは異なる別会社で、舗装会社としての独立性が他社よりあることが特徴だったからだ。

     

     問題視された価格カルテルへの対応や、アスファルト合材工場の販売にかかる営業情報と自社が応札する工事の情報管理体制構築など、コンプライアンス徹底に伴う企業統治強化に対し、主導権を発揮しなければグループトップ企業としての責任を果たせない前田建設と、上場企業として自社内で対応することを最優先にする前田道路の経営判断は、軟着陸の合意とはならなかった。

     

     今回、両社は「統治強化」と「独立性担保」というこれまで積み残してきた課題の最終決着に動いた格好だ。

     (秋山 寿徳)

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    掲載日: 2020年1月21日 | presented by 建設通信新聞

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